ABOUT US 美術館について

撮影:井戸 宙烈

館長からのメッセージ

高知県立美術館は1993(平成5)年11月3日に開館いたしました。
 その設立準備にあたり、高知県立美術館構想検討委員会が1989(平成元)年に出した答申では、美術館の基本的性格として「1. 県民のための美術館」「2. 生涯学習の場としての美術館」「3. 幅広い文化活動の交流の場としての美術館」の三つを掲げています。開館から30年を経て美術館を取り巻く状況も変化した中、美術館はこの三か条の延長線上でどのような役割を担うべきなのでしょうか。
 日本は人口減少時代に入りましたが、少子化だけでなく首都圏など一部への人口流動が続いています。住んでいたい街であるためには、仕事や学習機会などもそうですが、街の面白さや魅力の源泉として文化芸術の力も大切です。そのためには美術館のような文化施設が活気を持っていなければいけません。それは、住み続けたくなる街であるとともに、訪れてみたくなる街という魅力を持つことにもつながるでしょう。
 高知県立美術館では、シャガール・コレクションをはじめとする所蔵品や企画展示を通し、国内外のさまざまな美術に触れる機会を県民のみなさまに提供すると同時に、高知にゆかりのある近代・現代のアーティストも取り上げ、発信しています。また、多様な美術を身近に親しんでいただけるよう、子どもから大人まで幅広く対象に教育普及活動も行っています。開館20周年の2013年には、高知ゆかりの国際的写真家・石元泰博の膨大な作品・資料を核とした石元泰博フォトセンターを開設し、新たな一歩を踏み出しました。
 高知県立美術館にはもうひとつの個性として、舞台芸術と映画の活動があります。館内に可動式能舞台を持つホールを併設し、国内はもとより海外から招いての本邦初演を行うことも含め、パフォーミングアーツや映画のさまざまなプログラムを展開しています。
 このように美術を軸としつつも多様な芸術を視野に入れながら、愉しみ、学び、交流する場として高知県立美術館は活動してきました。30年にわたる経験の蓄積を生かしつつ、これからも歩み続けたいと思います。そして、集めてきた美術作品の保存と継承をはじめ、芸術の豊かさと面白さを次の世代へ伝えていきたいと考えています。

2024年10月

高知県立美術館 館長(第4代)
安田篤生

高知県立美術館の沿革

  • 1984(昭和59)年 3月 高知県立美術館建設基金条例の制定
  • 1987(昭和62)年 9月 美術館構想懇談会の開催
  • 1988(昭和63)年 6月 高知県立美術館構想検討委員会の設置
  • 8月 高知県教育長から高知県立美術館構想検討委員会に対し
    美術館基本構想を諮問
  • 1989(平成元)年 3月 高知県立美術館構想検討委員会から高知県教育長に対し
    美術館基本構想を答申
  • 美術館建設用地の取得
  • 6月 文化振興専門者会議の設置
  • 10月 建築基本設計
  • 1990(平成2)年 6月 建築実施設計
  • 1991(平成3)年 3月 建築工事着工
  • 1993(平成5)年 3月 建築工事竣工
  • 高知県立美術館の設置及び管理に関する条例の制定
  • 高知県立美術館建設基金条例の廃止
  • 4月 高知県立美術館の発足
  • 初代館長に鍵岡正謹(前・セゾン美術館企画学芸部長)が就任
  • 財団法人高知県文化財団に管理運営を委託
  • 11月 開館、最初の展覧会として記念展「ark of ART 美術の方舟」を開催
  • 1995(平成7)年 4月 高校生以下の観覧料の無料化
  • 1998(平成10)年 9月 98高知豪雨による美術館被災
    (翌年12月まで災害復旧工事のため臨時休館)
  • 2000(平成12)年 1月 防水設備工事竣工
  • 2004(平成16)年 4月 第2代館長に篠雅廣(前・京都市美術館学芸課長)が就任
  • 2006(平成18)年 4月 高知県が指定管理者制度を導入、高知県文化財団が直指定を受ける
  • 2007(平成19)年 4月 第3代館長に藤田直義(前・高知県立美術館副館長)が就任
  • 2009(平成21)年 4月 指定管理者として第2期目の直指定を受ける
  • 2012(平成24)年 4月 公益法人制度改革に伴い、高知県文化財団が新制度における
    公益財団法人として認定される
  • 2013(平成25)年 6月 石元泰博フォトセンターの発足
  • 2014(平成26)年 4月 指定管理者として第3期目の直指定を受ける
  • 10月 石元泰博展示室をオープン
  • 2019(平成31)年 4月 指定管理者として第4期目の直指定を受ける
  • 2023(令和5)年 11月 開館30周年記念展「そして船は行く」を開催
  • 2024(令和6)年 4月 指定管理者として第5期目の直指定を受ける
  • 第4代館長に安田篤生(前・奈良県立美術館副館長)が就任

TOP