PERFORMANCE & FILM
PAST
Winter Screening ATG & The Era
Sat. 23 Jan. 2021 - Sun. 24 Jan. 2021
Schedule: Saturday 23 - Sunday January 2021
Venue: The Museum of Art, Kochi - Museum Hall
Language: Japanese (without surtitles)
Admission (tax incl.): *Tickets are valid for one program per day only.
Advanced Sale: 1,000Yen / At Door: 1,200円
*Concessions (30% discount) offered to visitors with a certificate of physical/mental/intellectual disability, war-disabled or A-bomb victim, and 1 accompanying care person. Please show the valid certificate at box office. (Tickets purchased through Lawson Ticket are not eligible for discounts.)
Organized by The Museum of Art, Kochi
Supported by Japan Arts Council
Norminal support by The Kochi Shinbun, Kochi Broadcasting Co., Ltd., TV Kochi Broadcasting Co., Ltd., FM Kochi, Kochi SUN SUN TV, Kochi Cable Broadcast, Kochi City FM
企画概要
ATG(日本アート・シアター・ギルド)は、国内外の映画界をめぐる新しい動きを背景に、非商業的なアート系映画の配給・上映を目指して1961年に発足し、60年代半ばからは映画の製作も開始しました。60年代から70年代初頭にかけては、高度経済成長の只中、学生運動が激化し、ヒッピー、アングラ演劇などのカウンターカルチャーが勃興した時代でもありました。
本上映会では、そのような時代の空気を感じられる作品を8作品上映します。
※星加コレクション* より関連映画のポスターをホワイエにて展示します。
*高知県の映画文化の発展に大きく寄与された映画研究家、星加敏文氏のコレクション。
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上映作品(各プログラム入替制) ※開場は上映の30分前
1月23日(土) | 1月24日(日) |
Aプログラム 10:00~11:27 11:40~13:47 |
Cプログラム 10:00~11:37 11:50~13:33 |
Bプログラム 15:00~17:03 17:15~19:38 |
Dプログラム 15:00~16:47 17:00~18:42 |
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1月23日(土)
Aプログラム
① 10:00~11:27
『太陽の墓場』
(大島渚監督/1960年/87分/カラー/35ミリ)
製作・配給:松竹 脚本:大島渚、石堂淑朗 撮影:川又昂 音楽:真鍋理一郎
出演:炎加世子、佐々木功、津川雅彦、川津祐介
松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手・大島渚監督の衝撃的な傑作。大阪・釜ヶ崎(あいりん地区)を舞台に、売血、戸籍売買、売買春、レイプ、殺人、死体処理、暴力等、戦後日本社会の底辺に生きる人々を、現地にロケしてこれでもかと描く。たびたび挿入される夕陽をバックにした大阪城を望むカットは、日本の格差社会を象徴しているようで印象的。
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② 11:40~13:47
『地の群れ』
(熊井啓監督/1970年/127分/白黒/35ミリ)
製作:えるふプロ+ATG 配給:ATG 原作:井上光晴 脚本:井上光晴、熊井啓 撮影:墨谷尚之 音楽:松村禎三
出演:鈴木瑞穂、紀比呂子、奈良岡朋子、松本典子
佐世保の基地周辺を舞台に、原爆被災者部落と被差別部落とが少女暴行事件を契機に対立する様を描く超問題作。在日朝鮮人、基地問題などもからみ差別は重層化する。井上光晴の同名小説をベースに象徴的かつ衝撃的シーン満載で描く。えるふプロを熊井啓と共に設立した大塚和は高知県南国市出身。
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Bプログラム
① 15:00~17:03
『儀式』
(大島渚監督/1971年/123分/カラー/35ミリ)
製作:創造社+ATG 配給:ATG 脚本:田村孟、佐々木守、大島渚 撮影:成島東一郎 音楽:武満徹
出演:河原崎建三、賀来敦子、中村敦夫、小山明子、佐藤慶、乙羽信子
ATG創立10周年を記念して作られた。ある名門一家の、葬式、結婚式など冠婚葬祭のための集まりを通じて戦後の日本史を総括する大傑作。家父長制度に縛られた旧家の若者の悲劇。戦前の日本の姿が戦後崩壊して行く様を、冠婚葬祭の儀式を通じて重厚な様式美で描く。71年キネマ旬報第1位に輝いた。
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② 17:15~19:38
『三里塚第二砦の人々』
(小川紳介監督/1971年/143分/白黒/16ミリ)
製作・配給:小川プロダクション 撮影:田村正毅
新東京空港建設反対運動を追った三里塚シリーズの4作目にあたり、シリーズの頂点と言える傑作ドキュメンタリー。農民たちは体を鎖で木に縛り、地下壕にこもり抵抗する。カメラを闘争の真只中に置き、圧倒的迫力で記録する。小川紳介は、日本の戦後ドキュメンタリーを牽引し、「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の実現にも尽力した。マンハイム映画祭スタンバーグ賞受賞。
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1月24日(日)
Cプログラム
① 10:00~11:37
『裸の島』
(新藤兼人監督/1960年/白黒/97分/35ミリ)
製作・配給:近代映画協会 脚本:新藤兼人 撮影:黒田清巳 音楽:林光
出演:乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、堀本正紀
瀬戸内海の小島でひっそりと農業を営む4人家族を描く。耕地は少ない上に、水は隣りの島から運ばないといけない。鯛が釣れたら尾道に出かけそれを売って食事をするのが唯一の楽しみ。ある日長男が発熱し・・・。セリフを排し映像と音楽だけで綴られる新藤兼人の傑作中の傑作。モスクワ国際映画祭グランプリ受賞。世界63か国で上映された。
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② 11:50~13:33
『日本春歌考』
(大島渚監督/1967年/カラー/103分/35ミリ)
製作:創造社 配給:松竹 脚本:田村孟、佐々木守、田島敏男、大島渚 撮影:高田昭 音楽:林光
出演:荒木一郎、伊丹十三、小山明子、吉田日出子、串田和美
無気力な主人公たちの姿を1967年当時の世相を背景に美しくシュールな映像で描いた意欲作。大学受験のために上京した男子生徒たちは、同じ受験生の女生徒や高校の先輩の恋人に性的な妄想を抱く。春歌「ヨサホイ節」の他、軍歌、ロシア民謡、日米のフォークソング、民謡などが歌われる。大島渚の様々な問題意識が詰め込まれた即興的作品。
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Dプログラム
① 15:00~16:47
『薔薇の葬列』
(松本俊夫監督/1969年/白黒/107分/35ミリ)
製作:松本プロ+ATG 配給:(当時)ATG(現在)ダゲレオ出版 脚本:松本俊夫 撮影:鈴木達夫 音楽:湯浅譲二 美術:朝倉摂
出演:ピーター、土屋嘉男、東恵美子、秋山庄太郎
実験映画作家として知られた松本俊夫の長編劇映画第1作。ギリシャのエディプス神話を元に、舞台を現代に移し、ゲイボーイの世界、フーテン、ヒッピー、マリファナ、学生運動といった「昭和元禄」と呼ばれた当時の風俗と世俗を大胆に取り入れ、実験的手法を駆使して描いた問題作。16才の新人ピーターが妖しい美しさを放った。
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② 17:00~18:42
『田園に死す』
(寺山修司監督/1974年/カラー/102分/35ミリ)
製作:人力飛行機舎+ATG 配給ATG 原作・脚本:寺山修司 撮影:鈴木達夫 音楽:J・A・シーザー 美術:粟津潔
出演:八千草薫、春川ますみ、新高恵子、原田芳雄、蘭妖子
寺山修司が自身の同名歌集を元に少年時代を回顧した自伝的作品。下北半島恐山に近い寒村で母親と二人で暮らす少年。ある時村にサーカス団がやってくる。川を流れてくる赤い雛壇、恐山と新宿が一瞬で繋がる演出など映像的にも目を見張る。シュールでノスタルジー溢れる傑作。
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A T G 日本アート・シアター・ギルド
ATG(日本アート・シアター・ギルド)は、東和映画副社長の川喜多かしこ等の活動を基盤に、東宝の森岩雄副社長、三和興行社長の井関種雄らが中心になって、非商業的なアート系映画の配給・上映を目指して1961年に発足した。当初は芸術映画の配給・上映を主たる活動にしており、62年4月の「尼僧ヨアンナ」が第1回配給作品であった。60年代半ばからは1千万円の低予算映画の製作も開始した。大手映画会社を飛び出して独立プロを起こした大島渚や熊井啓、以前より独立プロで製作を続けていた新藤兼人、他分野で活躍していた松本俊夫や寺山修司を始めとする多くの監督に自由に作品を作らせ、日本映画の質的水準を支えた。80年以降はポルノ映画、ピンク映画や学生映研出身の井筒和幸、大森一樹らに創作の機会を与えた。映画業界の変化に伴い1980年代半ばから存在感が薄れ、1992年新藤兼人監督の「濹東綺譚」の配給を最後に活動を停止した。