【報告】所蔵作品《少女と白鳥》について
2025年06月05日
令和7年3月14日に高知県の記者会見にて発表しましたとおり、高知県立美術館が所蔵する作品《少女と白鳥》(購入時:ハインリヒ・カンペンドンク作、1919年制作とされる)は、専門家による調査の結果、贋作であると判断いたしました。
本作はハインリヒ・カンペンドンクが1919年に制作したものとして、平成8年に18,000,000円(税込)で購入したもので、令和6年に、ヴォルフガング・ベルトラッキによる贋作の可能性が浮上し、同年6月より調査を進めてまいりました。
京都大学の田口かおり准教授による絵具分析や、ドイツ・ベルリン州警察からの情報提供などをもとに、以下のような根拠が確認されました。
- ベルトラッキが贋作制作においてしばしば用いた絵具であり、かつ、カンペンドンクが本作品を制作したとされる時期(1910年代)には画家の描画用の絵具としては一般的でない材料であった「チタニウムホワイト」「フタロシアニンブルー」「フタロシアニングリーン」が使用されている可能性が高い。
- 作品裏に、ベルトラッキが自作したとされる偽の来歴ラベルが貼付されている。
- ベルリン州警察が作成したベルトラッキの贋作リストに、《少女と白鳥》と思われる作品が画像付きで掲載されている。
これらの調査結果を受け、高知県および当館は本作品を「贋作」と判断し、今後は購入先である画廊に対して返金交渉を行う予定です。また、調査経緯を紹介するかたちで、当該作品の公開を検討しています。公開の詳細については、確定次第速やかに公表いたします。
再発防止策として、今後の作品購入に際しては、来歴や真贋に関する事前調査をより徹底し、審査体制の強化に努めてまいります。
皆さまにはご心配をおかけしますが、今後も信頼いただける美術館運営を目指してまいります。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
高知県立美術館