collection I コレクション展
内容
アメリカで先端的なモダンデザインと写真の教育を受けたのち、1953年に東京へと拠点を移した石元は、学生時代に撮りためた作品の発表や、代表作〈桂離宮〉の撮影と並行して、日本の写真雑誌への撮り下ろしにも精力的に取り組みました。その中でも、東京の風景やこどもを写した連載などと並んで注目すべき仕事に〈ヌード〉が挙げられます。
西洋絵画の流れを汲みつつ、写真独自の表現が追及されてきたヌードの分野に、戦後多くの日本の写真家たちが挑むなか、日本写真界で特異な存在感を放っていた石元も、雑誌『写真サロン』の特集記事への参加などを通して撮影の機会を得ています。手掛けた作例はごく限られますが、情緒を排し、切り詰めた構図のうちに被写体を即物的に捉えた作品によって、その個性と実力とを存分に発揮しています。
本展では、50年代に取り組まれたシリーズを、知られることの少なかったカットとともに紹介します。