collection I コレクション展
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シャガール・コレクション展 もの言わずして語る人
2022年12月13日[火] - 2023年02月19日[日]
*1月16日(月)~19日(木)、23日(月)~27日(金)は閉室
会場:
2階 第1展示室
観覧料:
一般370円(290円) 大学生260円(200円)、 高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金。
*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳及び被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)、高知市及び高知県長寿手帳所持者は無料。
*年間観覧券所持者は無料。
内容
「もの言わずして語る人」は、シュルレアリストで詩人のルイ・アラゴン(1897~1982)がシャガールに献呈した詩33編に、シャガールが自ら25編のイメージを付して纏めた詩画集です。長らく「以心伝心」という訳名で紹介されてきましたが、フランス語のタイトル”Celui qui dit les choses sans rien dire”を直訳すると「何も云わずにものを云う人」という意味になります。このフレーズはアラゴンの詩文中に記述されています。
「悪童たち」以来、久しぶりにシャガールが本格的に取り組んだ色彩銅版画で、線描の魅力を生かした美しい作品です。アラゴンの詩は制作時に88歳を迎えていたシャガールの人生を謳ったもので、詩人から画家へのオマージュというべきものでした。画家はさらにその詩文に豊麗なイメージを与えています。敬愛しあう、異なるジャンルの芸術家同士の交歓が生み出した、密やかな美の協演をお楽しみください。
マルク・シャガール プロフィール
1887年、シャガールはロシアの街、ヴィテブスク(現在のベラルーシ共和国)の貧しいユダヤ人の家庭に生まれました。1911年からパリに出て、ラ・リューシュ(ハチの巣)というアトリエで制作に励む一方、アポリネール、サンドラールら詩人たちとも交流しました。キュビスムやフォーヴィスムを中心とする最新の美術に影響を受けるものの、恋人や花束といったモティーフが浮遊する独自の表現を確立していきます。 1915年には、生涯シャガールが愛し、創造の源泉となった同じユダヤ人のベラと結婚します。翌年には娘イダが生まれ、画家としての名声も高まりますが、ナチによるユダヤ民族の迫害政策や、ロシア革命、二度の世界大戦などの苦難に見舞われ、ヨーロッパ各地を転々としたのちアメリカへ亡命、その地でベラを失くします。ベラの死後、しばらく筆を取れなくなっていましたが、イダをはじめとする周囲の支えにより制作を再開し、「色彩の魔術師」と呼ばれるような鮮やかな色彩表現を深めていきます。1950年から南仏のヴァンスに定住し、晩年にいたるまで旺盛な制作意欲を発揮しましたが、1985年に惜しまれつつ逝去しました。享年97歳でした。
2022年度シャガール・コレクション展テーマ
「シャガールの故郷―ヴィテブスクとパリ」
帝政ロシア、現在のベラルーシにある街ヴィテブスクに生まれたシャガールは、1911年にパリへ出ます。その後一度帰国しますが、1922年に再びパリへ出て以降、故郷へ戻ることはありませんでした。しかし、その姿は家族や家畜、小さな町の風景などの形で繰り返し作品のなかに描かれています。一方でセーヌ川やエッフェル塔、オペラ座などのパリを表すランドスケープもまたシャガールの作品に繰り返し登場します。帰ることのなかった故郷ヴィテブスクとシャガールが画家として大成した場所であり、戦後亡命先のアメリカから戻った国の首都パリ。ふたつの街のモティーフが描かれた版画集を紹介します。
マルク・シャガール《花嫁の花束》1934-46年
(C) ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo,2022, Chagall (R) C3851