collection I コレクション展
内容
石元の建築写真と言えば、桂離宮や伊勢神宮の作品群を思い起こしますが、それ以外にも数多くの建築を写しています。その例として挙げられるのが、竹中工務店の広報誌『approach』での仕事でした。石元は1964年の創刊に関わって以降、竹中工務店が手掛けた国内外の建築を撮り下ろし、誌面に何度も写真を提供しています。本展では、1966年の企画記事より、日本の近代建築を写した作品を紹介します。
同記事では「竹中の歩み」と題し、竹中工務店が近代的な建設業者としての基盤を確立した明治から昭和初期に手掛けた建築が紹介されています。誌面には旧真宗信徒生命保険会社(現・西本願寺伝道院)や明治生命館など、伊東忠太や岡田信一郎ら日本の近代建築黎明期に活躍した建築家たちの作品や、大阪ビル東京分館や三井銀行神戸支店といった、現存しない建築の当時の貴重な姿も掲載されています。建築史家の村松貞次郎が解説文を執筆し、以降2年にわたり、竹中工務店の歩みとともに日本の建築史をたどる企画となりました。
西洋由来の建築技術や様式を取り入れた建物は、重厚なレンガの外壁やギリシア式装飾の柱など、日本の伝統建築とは異なる外観を有しています。石元は欧米と日本の様式が混ざり合う、日本の近代建築黎明期にいったい何を見出していたのでしょうか。石元がとらえた建築細部に宿る美しさを感じて頂ければ幸いです。
追悼展示 磯崎新
2022年12月28日に逝去された建築家の磯崎新氏を偲び《大分県立中央図書館(現アートプラザ)》や《つくばセンタービル》など、石元が磯崎建築を写した作品5点を併せて紹介します。
《鐘淵紡績京都工場》1966年頃 ©高知県, 石元泰博フォトセンター
《大分県立中央図書館(現アートプラザ)》1966年頃 ©高知県, 石元泰博フォトセンター