collection コレクション展

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シャガール・コレクション展 ラ・フォンテーヌの寓話2

2021年03月02日[火] - 2021年04月25日[日]

*3月15日(月)~17日(水)、23日(火)~26日(金)は閉室

会場:

2階 第1展示室

観覧料:
一般370円(290円) 大学生260円(200円)、 高校生以下無料

*( )内は20名以上の団体料金。
*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳及び被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)、高知市及び高知県長寿手帳所持者は無料。
*年間観覧券所持者は無料。

出品リスト.pdf

内容

『ラ・フォンテーヌの寓話』は、17世紀フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌが、イソップ童話をはじめ、インド、ペルシア、東洋の寓話を素材として制作した約240編からなるこの大寓話詩集。さまざまな動物が登場し、身もふたもない現実的な教訓や皮肉の混じった戒めを伝えるものであり、現在もフランスで読み続けられています。17世紀に出版されたときから幻想的な版画を描いたJ. J. グランヴィルや挿絵を多く制作した版画家ギュスターヴ・ドレなど多くの作家によって挿絵が描かれ、シャガールも構図や動物のポーズなどにおいて過去の作品から影響を受けています。

《ラ・フォンテーヌの寓話》でシャガールは、文に書かれている描写をそのまま挿絵にするだけでなく、シャガール独自の想像を用いて描きました。黒の濃淡と素早い線によって仕上げられたモノクロームの《寓話》は、グアッシュで制作した下絵の絵画的な美しさを追及して制作されています。そこに色彩を施した手彩色版画は、色彩を全面ではなくところどころに配し、モノクロームから展開した作品としての特徴を見ることができます。

マルク・シャガール プロフィール

1887年、シャガールはロシアの街、ヴィテブスク(現在のベラルーシ共和国)の貧しいユダヤ人の家庭に生まれました。1911年からパリに出て、ラ・リューシュ(ハチの巣)というアトリエで制作に励む一方、アポリネール、サンドラールら詩人たちとも交流しました。キュビスムやフォーヴィスムを中心とする最新の美術に影響を受けるものの、恋人や花束といったモティーフが浮遊する独自の表現を確立していきます。 1915年には、生涯シャガールが愛し、創造の源泉となった同じユダヤ人のベラと結婚します。翌年には娘イダが生まれ、画家としての名声も高まりますが、ナチによるユダヤ民族の迫害政策や、ロシア革命、二度の世界大戦などの苦難に見舞われ、ヨーロッパ各地を転々としたのちアメリカへ亡命、その地でベラを失くします。ベラの死後、しばらく筆を取れなくなっていましたが、イダをはじめとする周囲の支えにより制作を再開し、「色彩の魔術師」と呼ばれるような鮮やかな色彩表現を深めていきます。1950年から南仏のヴァンスに定住し、晩年にいたるまで旺盛な制作意欲を発揮しましたが、1985年に惜しまれつつ逝去しました。享年97歳でした

2020年度シャガール・コレクション展テーマ
「手彩色の世界」

モノクロームで制作した銅版画にシャガールが色を塗った手彩色版画《聖書》と《ラ・フォンテーヌの寓話》をご紹介します。

1923年に画商アンブロワーズ・ヴォラールから挿絵本の依頼を受けたシャガールは、ゴーゴリの『死せる魂』を選び、挿絵を制作しました。その出来栄えに満足したヴォラールはその後『ラ・フォンテーヌの寓話』、続いて『聖書』と挿絵の制作を持ちかけます。ヴォラールが39年に急死したため、どちらも最終的に出版されたのは戦後、シャガールが亡命先のアメリカからフランスに戻ってからでした。

当初《ラ・フォンテーヌの寓話》はカラー・エッチングで制作される予定でしたが、シャガールがグアッシュで制作した下絵の色彩を版画工房が再現することができず、カラーではなくモノクロームで制作することになったという経緯があります。シャガールによる手彩色を施した《寓話》は、52年に出版する際に制作されました。一方《聖書》の制作はグアッシュによる40点程の下絵を制作したのち、銅版画の制作に着手したとされます。56年、モノクロームの《聖書》が発行され、2年後に手彩色を施したものを出版しました。モノクローム版画の一部に色彩を施した手彩色版画は、黒のみで陰影を表した版画とも色彩豊かに仕上げたグアッシュの下絵とも異なる作品となり、限られた色によって見る者の想像力を刺激します。

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