collection I コレクション展
2020:08:25:08:00:00:2020:10:25:00:00:00
シャガール・コレクション展 聖書3
2020年08月25日[火] - 2020年10月25日[日]
*10月2日(金)~8日(木)は閉室
会場:
2階 第1展示室
観覧料:
一般370円(290円) 大学生260円(200円)、 高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金。
*身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳及び被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)、高知市及び高知県長寿手帳所持者は無料。
*年間観覧券所持者は無料。
*「石元泰博・コレクション展」も併せてご覧いただけます。
*「浦上コレクション 北斎漫画」(2020年8月10日~9月27日)の開催期間中、「浦上コレクション 北斎漫画」のチケットをお持ちの方は無料でご覧いただけます。
内容
第一次世界大戦やロシア革命に翻弄されたシャガールは、1923年、実に9年ぶりにパリに帰還し、旺盛な制作活動を再開します。ヴォラールから依頼された「旧約聖書の主題」はユダヤ民族のアイデンティティの根幹を成すものであり、シャガールのイメージの源泉でもありました。創作意欲を刺激されたシャガールは中東への取材旅行を敢行、またレンブラントやエル・グレコの技巧を研究するためオランダやスペインにも出かけました。
《聖書》はヴォラールが急死した39年の段階で66点制作されていましたが、第二次世界大戦の勃発や自身のアメリカへの亡命などで中断を余儀なくされ、再び着手されたのは戦後の52年になってからでした。作品によって画風が大きく異なるのは、その長い制作期間によるものです。全105点からなる版画集は56年にモノクロームで刊行されますが、シャガールの色彩への想いは絶ち難く、2年後、水彩による手彩色が施され、あらためて出版されます。高く評価された《聖書》はシャガールの版画家としての地位を不動のものとし、「聖書」の主題はその後もさまざまなかたちで表現されていきます。
今回は3期に分け、シャガールの銅版画の代表作をご紹介します。
マルク・シャガール プロフィール
1887年、シャガールはロシアの街、ヴィテブスク(現在のベラルーシ共和国)の貧しいユダヤ人の家庭に生まれました。1911年からパリに出て、ラ・リューシュ(ハチの巣)というアトリエで制作に励む一方、アポリネール、サンドラールら詩人たちとも交流しました。キュビスムやフォーヴィスムを中心とする最新の美術に影響を受けるものの、恋人や花束といったモティーフが浮遊する独自の表現を確立していきます。 1915年には、生涯シャガールが愛し、創造の源泉となった同じユダヤ人のベラと結婚します。翌年には娘イダが生まれ、画家としての名声も高まりますが、ナチによるユダヤ民族の迫害政策や、ロシア革命、二度の世界大戦などの苦難に見舞われ、ヨーロッパ各地を転々としたのちアメリカへ亡命、その地でベラを失くします。ベラの死後、しばらく筆を取れなくなっていましたが、イダをはじめとする周囲の支えにより制作を再開し、「色彩の魔術師」と呼ばれるような鮮やかな色彩表現を深めていきます。1950年から南仏のヴァンスに定住し、晩年にいたるまで旺盛な制作意欲を発揮しましたが、1985年に惜しまれつつ逝去しました。享年97歳でした。
2020年度シャガール・コレクション展テーマ
「手彩色の世界」
モノクロームで制作した銅版画にシャガールが色を塗った手彩色版画《聖書》と《ラ・フォンテーヌの寓話》をご紹介します。
1923年に画商アンブロワーズ・ヴォラールから挿絵本の依頼を受けたシャガールは、ゴーゴリの『死せる魂』を選び、挿絵を制作しました。その出来栄えに満足したヴォラールはその後『ラ・フォンテーヌの寓話』、続いて『聖書』と挿絵の制作を持ちかけます。ヴォラールが39年に急死したため、どちらも最終的に出版されたのは戦後、シャガールが亡命先のアメリカからフランスに戻ってからでした。
当初《ラ・フォンテーヌの寓話》はカラー・エッチングで制作される予定でしたが、シャガールがグアッシュで制作した下絵の色彩を版画工房が再現することができず、カラーではなくモノクロームで制作することになったという経緯があります。シャガールによる手彩色を施した《寓話》は、52年に出版する際に制作されました。一方《聖書》の制作はグアッシュによる40点程の下絵を制作したのち、銅版画の制作に着手したとされます。56年、モノクロームの《聖書》が発行され、2年後に手彩色を施したものを出版しました。モノクローム版画の一部に色彩を施した手彩色版画は、黒のみで陰影を表した版画とも色彩豊かに仕上げたグアッシュの下絵とも異なる作品となり、限られた色によって見る者の想像力を刺激します。
ミニ・ギャラリートーク
会期中の毎土・日曜日、15:00~15:30。
2階第1展示室にお集まりください。要観覧券。