exhibitions 展覧会

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ドイツ表現主義の版画 Das graphische Werk des deutschen Expressionismus

1999年10月02日[土] - 1999年12月05日[日]

1999年10月2日(土)~11月7日(日)前期
     11月9日(火)~12月5日(日)後期

開館時間:午前9時~午後5時(入場は4時30分まで)
休館日:10月5日(火)、12日(火)、18日(月)、25日(月)、11月2日(火)、8日(月)、15日(月)、22日(月)、29日(月)
開催場所:高知県立美術館1階企画展示室
観覧料:前売券500円 一般610円(500円) 大学生400円(300円) 高校生以下無料
※ ( )内は20名以上の団体料金。身障者手帳(1・2級)、療育手帳及び障害者手帳所持者とその介護者(1名)、高知県及び高知市長寿手帳所持者は無料。

主催:高知県立美術館
助成:よんでん文化振興財団
平成11年度第49回高知県芸術祭参加行事

内容

今世紀初頭のドイツ語圏の革命的な文学創造に端を発した表現主義の芸術運動は、音楽、美術、演劇等の諸ジャンルに影響を及ぼしながら急激な展開を見せました。1905年、ドレスデンの工科大学で建築を学んでいた学生たちによって結成された芸術家集団「ブリュッケ」と、1911年にミュンヒェンで新しい総合芸術誌を世に出すために結成された「青い騎手」は、印象主義の外面的表現の偏向に抗して作家の主観を前面に押し出し、モダンアートの発展に新たな地平を拓きました。彼らの運動を両輪に、「ドイツ表現主義」は多様な展開を見せます。
しかし1914年に勃発した第一次世界大戦で多くの逸材を失い、表現主義の運動は大きく方向を転換します。戦争を遂行する軍人や、その陰で私腹を肥やす資本家を戯画的に描き、人間の暗黒面を大胆に描いたグロッスやディックスは、その一方で一切の感情を交えずに対象をリアルに描き取り、新しい写実である「新即物主義」の表現を模索しました。またヴァイマル共和国の自由な気風の中で新しい美術教育の実験の場として組織されたバウハウスでも、表現主義の作家たちは新たな表現を探求します。
ウォール街の恐慌に端を発した空前のインフレのなか、1933年に政権を奪取したナチ党は、形態のデフォルメを認めず、健全なドイツ民族を侮辱するものとして、表現主義の作家たちに「退廃」の烙印を押し、弾圧をはじめます。1945年にドイツが第二次世界大戦で無条件降伏するまで、彼らは国外に亡命するか、国内にあっても僻地に逼塞していなければならなかったのです。
しかしながら、戦後の自由な芸術運動の礎は彼らによって築かれました。ドイツからの亡命者たちの指導によって戦後のアメリカ美術の台頭は促され、その精神は現代の最先端を走る次世代のアンゼルム・キーファー、ゲオルク・バゼリッツらドイツ出身のアーティストたちに連綿と受け継がれていきます。
作家の主観を前面に押し出す表現主義の美術は、それゆえ色彩や形態のデフォルメを特徴としますが、それがもっとも顕著に表れるのが版画です。日本の近代美術にも深い影響を与えた表現主義の版画芸術を、高知県立美術館のコレクションから紹介いたします。

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