PERFORMANCE & FILM 舞台芸術 & 映画

今後のイベント
特別取材企画(レポート:尾上そら) 旅する『シンデレラ』
2026年11月20日[金] - 2026年12月26日[土]
世界的に知らぬ人のない戯曲や童話、小説を大胆なアイデアで抽出&濃縮したり、思いもよらぬ斬新さで深掘りしたり。カンパニーデラシネラが取り組むシりーズ「古典名作劇場」は、年齢や鑑賞経験の有無に限らず幅広い観客を魅了してきました。
その最新作が、デラシネラの『シンデレラ』。俳優・浅野和之さんを筆頭に魅力的なゲストも迎え、他では体験できないような、原作を反転させる不思議な世界が舞台上に出現しそうです。
また、本作品はカンパニーデラシネラと高知、岡山、福岡、島根、福島、新潟の6つの公共劇場の共同製作によってつくられ、最終寄港地・東京まで7都市をツアーする画期的な取り組みとなっています。
演出・出演の小野寺修二さんを筆頭に、メンバーでの創作は着々と進行中。クリエイションをレポートする前に、各劇場でともに作品をつくる仲間たち=制作、広報担当の方々の声をお届けしたいと思います。
尾上そら
●第1回 高知県立美術館
企画事業課主幹兼プロデューサー 松本千鶴
「古典名作劇場」誕生の地であり、デラシネラの『シンデレラ』世界初演を行う高知から、このレポートもはじめたいと思います。美術館からなぜ舞台作品が生まれたのか、アーティストとの絆がどのように育まれたのか。「誕生の地」の物語から浮かび上がる創作の記憶を紐解きます。(構成=尾上そら)
◆「古典名作劇場」のはじまり
小野寺修二さん、藤田桃子さんと高知県立美術館のおつきあいは、前身のパフォーマンスシアター「水と油」時代から始まりました。2000年代初頭から『見えない男』『スケジュール』といった作品を招聘し、ワークショップも実施。言葉に頼らず幅広い方に楽しんでいただけるその表現と作品世界は、お客様だけでなく私たち職員も魅了してきました。藤田直義前館長が「高知発の新作を送り出したい」とこだわり、小野寺さんたちに「美術館と劇場の垣根を越え、新しい表現と出会える場を」と、館内を回遊するパフォーマンスを委嘱したのも自然な流れだと思います。それが古典名作劇場の第一弾『ロミオとジュリエット』です。
この「劇場の外へ飛び出す」試みの発展形が、ツアー先の地域にある小中学校へ出向く「出前演劇教室」です。劇場公演の半年ほど前から各校をめぐり、生徒にマイムベースのワークショップ(アウトリーチ)を体験してもらいます。身体表現の面白さを知ってもらった上で、改めて劇場公演と同内容の上演を、体育館での鑑賞教室として行う仕組みです。ツアー中は平日に学校で鑑賞教室、週末に劇場で一般向けの公演を実施してきました。
忘れられないのが、着任3か月後の2017年、第二弾『ドン・キホーテ』初演時のこと。学校公演を観た小学生が「もう一度観たい!」と500円玉を握りしめ、家族と来館してくれました。舞台芸術と地域を繋ぐやりがいが、ここにあるのだと実感した瞬間で、この光景は今も、高知での活動における私の大切な原体験となっています。
◆「高知発」から「地域発」へ
『ロミオとジュリエット』『ドン・キホーテ』『はだかの王様』。「古典名作劇場」は高知での初演後も、デラシネラの皆さんを中心に全国各地の学校や文化施設で再演を重ね、さまざまな土地で観客との出会いを重ねてきました。これまでの再演記録を整理した際、その会場数が100を超えていることを知り、高知生まれの作品が全国の施設やお客様によって豊かに育てられてきたのだとあらためて胸が熱くなりました。「一連の作品はもはや高知だけのものではない」という実感が、複数施設による「地域発」の共同製作という新たな一歩を促してくれました。
2024年に入って各地の劇場にお声掛けを始め、同年末から構想を共有し、ともに考える場として各館の担当者とデラシネラさんとで集まるオンラインミーティングを重ねました。“浅野和之さん演じるシンデレラ”というアイデアや、製作費の仕組みを検討するだけでなく、各館が日々抱える課題や地域の観客との関係を互いに共有する。さらにはアーティストとの対話を深める時間であると同時に、今回の取り組みの確かな土台にもなったと考えています。学校公演やアウトリーチも各地の特性に合わせて実施され、ろう学校や多国籍の児童生徒が学ぶ学校、山間地域の学校などへ、デラシネラさんに出向いていただきました。言葉の壁を越えて想像力を刺激する身体表現に目を輝かせる子どもたちと、生徒たちの新たな一面を発見し心躍らせる先生方からのフィードバックに、私たちも大きな手応えを得ています。
開幕が迫る今、私たち共同製作館は小野寺さん待望となる俳優・浅野和之さんとの創作(2014年1月『ある女の家』以来)に、大小さまざまに関わらせていただいています。アイデアが生まれ、試しては解体し、洗練されていくクリエイションのプロセスに伴走することは、制作者にとっての醍醐味であり、時にスリリングにも感じられる経験です。前館長の時代から歴代の職員、全国の方々と大切に育んできた本シリーズの軌跡を、今回の共同製作を通じて全国の仲間たちと分かち合い、未来への豊かな広がりへと繋げていきたいと願っています。そして、この熱気と手応えを胸に、全国へ送り出す『シンデレラ』の幕開けを心待ちにしています。
高知公演:
11月20日(金)19:00開演
11月21日(土)13:00開演
高知県立美術館ホール
詳細はこちら
カンパニーデラシネラの前身「水と油」が高知県立美術館にやってきた1作目『見えない男』ポスター(2001年)。おのでらん(小野寺修二さん)、ももこん(藤田桃子さん)のサインも!ホール通路にいまも大切に掲示しています。
古典名作劇場の第一弾となった『ロミオとジュリエット』は、高知県立美術館のエントランスホールや館内外で初演。沢山の方に囲まれ大にぎわいでした。(2011, 高知県立美術館)
カンパニーデラシネラ古典名作第一弾『ロミオとジュリエット』(2011, 高知県立美術館)
地方発・7地域共同製作 初演ツアー決定!古典名作劇場第四弾『シンデレラ』では、カンパニーデラシネラと全国6つの公共ホール(高知・岡山・久留米・いわみ・いわき・新潟)が連携し、シリーズ初の共同製作に取り組みます! 11/20(金)・21(土)高知県立美術館 |
◤メディア情報◢
2026.10.9 FM高知「Hi-Six Shake! Shake! Shake!」
2026.10.8 NEWS PICKS
2026.8.19 ステージナタリー
2026.5.18 RKC高知放送(出前演劇教室への取材)
2026.5.18 NHK高知放送(出前演劇教室への取材)
◤共同製作先でのご紹介◢
2026.10.6 久留米シティプラザ 浅野和之インタビュー
2026.10.1 RYUTOPIA MAGAGINE vol.79
2026.10.1 アリオスペーパーvol.108 特集ページ
2026.9.1 ハレノワ通信[WA]VOL.14
『ロミオとジュリエット』(2016, 穂の国とよはし芸術劇場) 撮影:伊藤華織
『ドン・キホーテ』(2017, 高知県立美術館) 撮影:釣井泰輔)
『はだかの王様』(2021, 高知県立美術館) 撮影:釣井泰輔





