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高知県立美術館特別上映会 増村保造映画祭

2002年04月29日[月] - 2002年05月06日[月]

上映日:4月29日(月・祝)、5月1日(水)・2日(木)、4日(土)・5日(日)・6日(月・祝)

場所:高知県立美術館ホール

入場料: 前売1日800円、 当日1日1,000円、6回券4,000円
※身体障害者手帳、療育手帳、障害者手帳所持者とその介護者1名は3割引です。
        

主催:高知県立美術館(高知県文化財団)

後援:高知新聞社・RKC高知放送・KUTVテレビ高知・NHK高知放送局、エフエム高知・KSSさんさんテレビ
フィルム提供:大映株式会社

日本映画の素晴らしさを再発見してもらうために、戦後日本を代表する監督である増村保造の特集を開催します。
57本の監督作品の中から、大映時代の作品を、若尾文子出演作13本を含む24本一挙に上映します。
強烈な自我をもち激しい愛憎を貫く人々。彼らが繰り広げる濃密な物語─── 
増村保造が描き続けた人物・物語は、イタリア留学で得たヨーロッパ的人間観に根ざしていると言われます。
旧来の日本映画が持つ情緒性を廃したクール&モダニスティックな演出で、知性と激しさが共存する新しい日本映画を作り上げました。
「オレは十年早すぎた」が口癖だった彼ですが、今日では、世界各地で行われた回顧上映によって、黒澤、溝口、小津につぐ日本映画界の巨匠として世界に認知されつつあります。
時代がようやく「早すぎたモダニスト」増村保造に追いつこうとしているのかもしれません。
従来のヒロイン像とは異なる能動的な女性の美しさを、圧倒的な力強さでみせる増村保造の演出は、特に若尾文子の主演作に結実し、「刺青(いれずみ)」「卍(まんじ)」「妻は告白する」「赤い天使」「清作の妻」など数多くの傑作を作り上げました。
他にも「卍」の岸田今日子、「くちづけ」「巨人と玩具」の野添ひとみ、「痴人の愛」の安田(大楠)道代、「でんきくらげ」の渥美マリ、「盲獣」の緑魔子など、数多くの女優と組み、増村ならではの演出でその魅力を引き出しています。

★増村保造の正義は剛速球である。剛速球の正義は普遍であり、決して古びない。そんじょそこらの映画ではないのだ。貴方の人生を変えるかもしれない。つまり増村は世界を変える。事実、増村は映画を変えた。
(映画監督・青山真治)

★かつて世の中には日活オヤジがいたり、東宝ファミリーがいたり、松竹おばさんがいたりした。頭でっかちのマセガキだった僕には、大映のなんとも淫靡な映像がいちばん刺激的だった。オトナになってから、それが増村保造だったのだとわかった。こんなにひねくれた美意識を植えつけてくれて、下半身から世界を見るやりかたを教えてくれて、増村さん、どうもありがとう。
(編集者・都築響一)

★増村保造は子供のようにまっすぐで男っぽい。女という生き物が大好きで、魅了されたくてうずうずしている。映画館の暗闇はさぞかし、男たちの溜息に満ちて重く濃かったことだろう。「男って馬鹿ね。可愛いわね」とスクリーンの向こうから若尾文子の呟きが聞こえてきそうだ。
(作家・桐野夏生)

★若尾文子さんの立ち居振舞いはすごくきれいで、見ているあいだじゅう、うらやましくて目で追い続けてしまいました。(増村保造監督の)映画の中では、力強くしゃべるシーンが多いので、美しさと強さのギャップも魅力的に感じました。
(女優・真野きりな)

上映 作 品


4月29日(月・祝)

『くちづけ』10時30分
出演:川口浩・野添ひとみ・三益愛子・若松健/原作:川口松太郎/脚本:舟橋和郎
(1957年/モノクロ/74分/スタンダード)
増村保造の記念すべきデビュー作。川口浩と野添ひとみの名コンビが、
若き恋人たちの光と影を鮮やかに演じた傑作。
若々しく鮮烈な演出は、日本映画界に新風を吹き込んだ。

『青空娘 』[35mmNEW!]13時
出演:若尾文子・菅原謙二(謙次)・川崎敬三/原作:源氏鶏太/脚本:白坂依志夫
(1957年/カラー/89分/スタンダード)
継母にいじめられても決して挫けず、笑顔で明るく生きてゆく少女・有子。
増村保造が若尾文子と初めて組んだ記念碑的作品。
まだあどけない若尾文子が魅力的な必見作。

『暖流 』[35mmNEW!]14時40分
出演:根上淳・左幸子・野添ひとみ・船越英二/原作:岸田國士/脚本:白坂依志夫
(1957年/カラー/94分/スタンダード)
吉村公三郎監督によるメロドラマ映画の名作を斬新な手法で再映画化。
力強く生きる看護婦・石渡ぎん(左幸子)が鮮烈な印象を残す。
若き日の美輪明宏が美声を披露している。

『巨人と玩具』16時25分
出演:川口浩・野添ひとみ・高松英郎/原作:開高健/脚本:白坂依志夫
(1958年/カラー/96分/大映スコープ)
笑顔と元気だけが取り柄の少女・京子は、ひょんなことでスターダムにのし上がるが…。
力強い人物描写、アップテンポな演出、鮮やかな色彩等、
旧来の日本映画とは一線を画すモダニスト増村の初期の傑作。

5月1日(水)

『最高殊勲夫人』 [35mmNEW!]13時30分
出演:若尾文子・川口浩・宮口精二・船越英二/原作:源氏鶏太/脚本:白坂依志夫
(1959年/カラー/95分/大映スコープ)
姉が勝手に進める結婚話に腹を立てた杏子。
「断然結婚しない」と宣言したものの、次第に相手の三原三郎に惹かれていき…。
モダン&スピーディーな増村版ラブコメディ。

『氾濫』 [16mm]15時15分
出演:佐分利信・若尾文子・左幸子・川崎敬三/原作:伊藤整/脚本:白坂依志夫
(1959年/カラー/97分/大映スコープ)
原作者自身が映画化不可能と述べた伊藤整の長編小説を、
緻密な構成で見事な群像劇として映画化。
名優たちの競演を通して、現代社会の人間の心に宿る空虚を鋭く描き出す。

『からっ風野郎』18時
出演:三島由紀夫・若尾文子・船越英二・志村喬/脚本:菊島隆三・安藤日出男
(1960年/カラー/96分/大映スコープ)
当時、既に世界的に高名な作家となっていた三島由紀夫の主演作。
やくざの跡取ながら、どこか弱さや優しさを持った男を演じている。
激しく愛を生きるヒロインに若尾文子。

『偽大学生』 [35mmNEW!]19時45分
出演:若尾文子・ジェリー藤尾・船越英二/原作:大江健三郎[偽証の時]/脚本:白坂依志夫
(1960年/モノクロ/94分/大映スコープ)
大江健三郎の原作を得て学生運動の光と影を描く。
偽大学生・彦一を体制側のスパイだと思い込んだ学生たちは、彦一を監禁するが…。
伊丹十三が学生運動のリーダー役で出演。

5月2日(木)

『妻は告白する』13時30分
出演:若尾文子・川口浩・小沢栄太郎・馬渕晴子/原作:円山雅也「遭難」/脚本:井手雅人
(1961年/モノクロ/91分/大映スコープ)
若尾文子を、日本映画史を飾る大女優の道へと導いた傑作。
愛を貫き、遂には狂気へと陥っていく女を、若尾文子は全身全霊で演じる。
夫殺しの嫌疑をかけられた美しき人妻は…。

『黒の報告書』 [16mm]15時10分
出演:宇津井健・叶順子・高松英郎/原作:佐賀潜/脚本:石松愛弘
(1963年/モノクロ/94分/大映スコープ)
宇津井健演じる地検の検事が、殺人事件をめぐる偽証工作に立ち向かう。
スリリングな裁判シーンは必見。
東大法学部出身の増村保造は裁判シーンの名手として知られる。

『「女の小箱」より 夫が見た』[35mmNEW!]18時
出演:若尾文子・田宮二郎・川崎敬三・岸田今日子/原作:黒岩重吾/脚本:高岩肇・野上竜雄
(1964年/カラー/92分/大映スコープ)
美貌の人妻・那美子は、ナイトクラブの若き経営者・石塚と出会い、次第に惹かれていくのだが…。
端正な面立ちの下に秘めた女の情念を、若尾文子が見事に演じている。

『卍』19時45分
出演:若尾文子・岸田今日子・船越英二・川津祐介/原作:谷崎潤一郎/脚本:新藤兼人
(1964年/カラー/90分/大映スコープ)
弁護士の妻・園子(岸田今日子)と若く美しい社長令嬢・光子(若尾文子)の「密かな関係」。
谷崎潤一郎の原作を得て、当時タブー視されていた女性同士の愛を瑞々しく描いた傑作。

5月4日(土)

『清作の妻』 [35mmNEW!]10時30分
出演:若尾文子・田村高廣・殿山泰司・成田三樹夫/原作:吉田絃二郎/脚本:新藤兼人
(1965年/モノクロ/93分/大映スコープ)
日露戦争時代の貧しい農村を舞台に、戦争という状況の中で、愛する男のために戦う女の凄まじさを描く。
単なる反戦映画ではない。恐ろしくも美しい恋愛映画の傑作である。

『刺青』 [35mmNEW!]13時
出演:若尾文子・長谷川明男・山本学/原作:谷崎潤一郎/脚本:新藤兼人
(1966年/カラー/86分/大映スコープ)
背に彫られた女郎蜘蛛さながら、近寄る男を次々と破滅させ死へ追いやっていくお艶…。
故・宮川一夫の流麗なカメラワークを得て、美しく激しい情念の世界を見事に映像化した。
原作は谷崎潤一郎。

『陸軍中野学校』14時35分
出演:市川雷蔵・小川真由美・加東大介/脚本:星川清司
(1966年/モノクロ/95分/大映スコープ)
市川雷蔵主演の人気シリーズ第一作。
日本陸軍のスパイ育成のため作られた陸軍中野学校では、名前も、戸籍も、家族も恋人も捨て、
日夜苛烈な訓練を続ける若者がいた。

『赤い天使』 [35mmNEW!]16時20分
出演:若尾文子・芦田伸介・川津祐介/原作:有馬頼義/脚本:笠原良三
(1966年/モノクロ/95分/大映スコープ)
太平洋戦争末期の中国大陸。凄惨で狂気に満ちた戦場にあっても、
軍医への愛を貫く従軍看護婦・さくらの壮絶な美しさ!
日本以上にフランスで評価された増村保造の代表作の一つ。

5月5日(日)

『妻二人』 [35mmNEW!]10時30分
出演:若尾文子・高橋幸治・岡田茉莉子/原作:パトリック・クェンティン/脚本:新藤兼人
(1967年/カラー/94分/大映スコープ)
海外のミステリー小説をもとにした二大女優の共演作。
若尾文子は夫・健三を貞淑に愛し続ける理性的な妻を、
岡田茉莉子は健三を愛し続ける昔の恋人をそれぞれ熱演する。

『痴人の愛』 [35mmNEW!]13時
出演:安田(大楠)道代・小沢昭一・田村正和/原作:谷崎潤一郎/脚本:池田一朗
(1967年/カラー/93分/大映スコープ)
「卍」「刺青」に続く谷崎文学の映画化。
自由奔放に生きるヒロイン・ナオミに扮した大楠道代は、
増村保造の演出を得て強烈な存在感を放つ。
田村正和がプレイボーイ役で出演。

『華岡青洲の妻』14時45分
出演:市川雷蔵・若尾文子・高峰秀子/原作:有吉佐和子/脚本:新藤兼人
(1967年/モノクロ/100分/大映スコープ)
有吉佐和子のベストセラー小説を映画化。
全身麻酔の方法を探究する医師・華岡青洲への愛のため、競って実験台になろうとする妻と母。
美しい二人の女の凄まじい意地と葛藤。

『盲獣』 [35mmNEW!]16時35分
出演:緑魔子・船越英二・千石規子/原作:江戸川乱歩/脚本:白坂依志夫
(1969年/カラー/84分/ワイド)
目、乳房、手、足といった女体の一部がオブジェとなり、無数に並べられた巨大な密室で、
アキと盲人は次第に狂気の愛に目覚めていく。見る物を圧倒的な力で惹きつける傑作。

5月6日(月・祝)

『千羽鶴』10時30分
出演:若尾文子・平幹二郎・京マチ子・船越英二/原作:川端康成/脚本:新藤兼人
(1969年/カラー/96分/ワイド)
吉村公三郎監督「千羽鶴」(’53)の再映画化。
増村保造と若尾文子、名コンビの20作目にして最後を飾る作品。
若尾文子は、愛なしでは生きられない太田夫人を熱演する。

『女体 (じょたい)』 [35mmNEW!]13時
出演:浅丘ルリ子・岡田英次・岸田今日子/脚本:池田一朗・増村保造
(1969年/カラー/95分/ワイド)
欲望のまま奔放に生きるミチの強烈な生き方と破滅を、浅丘ルリ子がパンチの効いた演技で見せる。
増村保造は浅丘ルリ子の魅力と演技力を高く評価していた。

『でんきくらげ』 [35mmNEW!]14時45分
出演:渥美まり・川津祐介・西村晃/原作:遠山雅之/脚本:石松愛弘・増村保造
(1970年/カラー/92分/ワイド)
肉体的な魅力で瞬く間にスターダムにのし上がった渥美マリの代表作。
美しい体を武器に男たちを虜にし、水商売の世界でのし上がっていく女・由美の生き様を描く。

『遊び』 [16mm]16時30分
出演:関根恵子(高橋恵子)・大門正明/原作:野坂昭如「心中弁天島」/脚本:今子正義・伊藤昌洋
(1971年/カラー/90分/ワイド)
大人たちの汚れた欲望に屈せず、青春の輝きに満ちた1日を生きる18歳の少年と16歳の少女。
増村最後の大映作品。
高橋恵子が初々しい魅力を発散する。原作は野坂昭如。

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