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パゾリーニ映画祭
その詩と映像

1999年04月30日[金] - 1999年05月05日[水]

謎の死から24年、その全貌が初めて明かされる長編全14作品、一挙ニュープリント上映!

上映日:1999年4月30日(金)~5月5日(水・祝)
会場: 高知県立美術館ホール

入場料:前売1日800円/当日1000円/5回券3000円
*身体障害者割引料金(手帳1・2級所持者): 前売560円/当日700円/5回券2100円
*身体障害者割引前売券については、県民文化ホール、美術館ミュージアムショップにて取り扱います。

チケット発売所:高新プレイガイド、チケットぴあ、チケットセゾン、県民文化ホール、ブックスウィル、サニーマート、県立美術館ミュージアムショップ

主催:高知県立美術館(高知県文化財団)
後援:高知新聞社・RKC高知放送・テレビ高知・NHK高知放送局・エフエム高知・KSSさんさんテレビ
助成:(財)地域創造(ジャンボ宝くじ助成事業)

「今世紀後半にイタリア語で書いた最大の詩人」(アルベルト・モラヴィア)
「映像を撮るたびにスキャンダルを起こすというのは、すごい才能なんだよ」(大島渚)
「パゾリーニは、記号学よりもさらに先に行こうとしているようだ」(ジル・ドゥルーズ)
ピエル・パオロ・パゾリーニ(1922-1975)は、豊かな歴史を誇るイタリア映画史の中でもひときわ異彩を放つ存在です。映画監督としてのキャリア以前に、詩人や小説家として活躍し、小説「生命ある若者」などで高い評価を得ました。1950年代より、映画の脚本もてがけ、ローマの貧しい人々を描いた『アッカトーネ』(1961)で監督デビューすると、その鮮烈なイメージでー挙に映画監督として有名になりました。ネオレアリズモの伝統を踏まえつつ、対象を詩的次元から捉えようとする、彼のたぐいまれな映像詩は、性、宗教(神話)、歴史(社会)といったテーマを大胆に切断/構築し、一作ごとにセンセーションを巻き起こしました。パゾリーニは1975年に『ソドムの市』を発表後、撲殺されます。
日本では、彼の死後その映画がスクリーンで見られることはほとんどありませんでした。スキャンダラスなテーマのみが話題となり、映画表現の新しさや質の高さが論じられなかったことがその大きな理由の一つでしょう。死後20年以上がたった今、パゾリーニをこうした視点から解放する絶好の機会が訪れます。
今回は長篇全作品14本を上映して、パゾリーニの業績を回顧し、謎に包まれた彼の全体像を探ります。

上映作品

アッカトーネ
Accattone
1961年/白黒/スタンタード/35mm/117分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)、チーノ・デル・ドゥーガ(ローマ)
■製作: アルフレード・ビーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■台詞協力: セルジョ・チッティ■撮影監督: トニーノ・デッリ・コッリ■美術設定: フラヴィオ・モゲリーニ■音楽監修: カルロ・ルスティケッリ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: フランコ・チッティ、フランカ・バスット、シルヴァーナ・コルシーニ、パオラ・グイーディ
パゾリーニの記念すべきデビュー作。同性愛行為での告発、教職停止、共産党除名の失意の中で、カザルサからローマに母とともに移住したパゾリーニは、セルジョ・チッティを通じて、下層階級の人々に触れることになる。 プロレタリアートにさえなりきれない彼らのいらだちに益れた生活を描いた「希望のない悲劇」。

奇跡の丘

Il Vangelo secondo Matteo
1964年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/137分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)、リュックス・フランス映画会社(パリ)
■製作: アルフレード・ビーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■撮影監督: トニーノ・デッリ・コッリ■美術設定: ルイジ・スカッチャノーチェ■音楽: ルイス・エンリケス・バカロフ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: エンリケ・イラソキ、マルゲリータ・カルーゾ、スザンナ・パゾリーニ、マルチェッロ・モランテ、マリオ・ソクラテ、ニネット・ダヴォリ
「マタイによる福音書」に基づく、〈無神論者〉パゾリーニの「キリスト伝」で、彼がこれまでの主題とスタイルを大胆に変更した作品。神の子キリストの誕生から律法学者らによる迫害、ユダの裏切り、ゴルゴダの丘における磔刑、そして復活までを描く。出演者はみな素人で、特に年老いたマリアはパゾリーニの最愛の母スザンナが演じている。

アポロンの地獄

Edipo re
1967年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/104分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)、ソマフィス(カサブランカ)
■製作: アルフレード・ビーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■原作: ソフォクレス「オイディプス王」■撮影: ジュゼッペ・ルッツォリーニ■美術: ルイジ・スカッチャノーチェ■音楽監修: ピエル・パオロ・パゾリーニ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: シルヴァーナ・マンガーノ、フランコ・チッティ、アリダ・ヴァリ、カルメロ・ベーネ、ニネット・ダヴォリ
詩人ソフォクレスの戯曲を元に描く「オイディプス」の姿。古典を常に現在の価値観と視点から捉えようとする、パゾリーニ流の解釈に基づいたギリシア悲劇の世界が展開される。

テオレマ

Teorema
1968年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/98分
製作会社: アエトス・フィルム(ローマ)
■製作: フランコ・ロッセリーニ、マノーロ・ボロニーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■撮影: ジュゼッペ・ルッツォリーニ■美術: ルチャーノ・プッチーニ■音楽: エンニオ・モリコーネ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: シルヴァーナ・マンガーノ、テレンス・スタンプ、マッシモ・ジロッティ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ラウラ・ベッティ
あるブルジョワ家庭にひとりの男が来訪する。その日を境に妻と夫、親と子、雇い主と使用人といった家庭内の人間関係や力学が次第に崩壊してゆく。パゾリーニ自身のオリジナル脚本による寓意に溢れた傑作。
(配給: 日本へラルド映画)


王女メディア

Medea
1969‐70年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/110分
製作会社: サン・マルコS.p.A(ローマ)、フィルム・ナンバー・ワン(パリ)、ヤヌス・フィルム(フランクフルト)
■製作: フランコ・ロッセリーニ、マリーナ・チコーニャ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■原作: エウリピデス「メディア」■撮影: エンニオ・グァルネリ■美術: ダンテ・フェルレッティ■音楽構成: ピエル・パオロ・パゾリーニ、エルサ・モランテ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: マリア・カラス、ローラン・テルジェフ、マッシモ・ジロッティ、ジュゼッペ・ジェンティーレ、マルガレート・クレマンティ
古代に舞台設定しながら、それを現代の寓話として描くパゾリーニの真骨頂。エウリピデスのギリシア悲劇とはほとんど関係かないとパゾリーニ自身が語っている。オペラ歌手マリア・カラスを主演に抜擢、セリフを極力排して作られた「宗教(信仰)の生誕の物語」。

ロゴパグ

RoGoPaG
1963年/白黒+カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/122分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)、チネリッツ(ローマ)、リラ・フィルム(パリ)
■製作: アルフレード・ビーニ■監督: 「純潔」ロベルト・ロッセリーニ、「新世界」ジャン=リュック・ゴダール、「意志薄弱な男(リコッタ)」ピエル・パオロ・パゾリーニ、「放し飼いの鶏」ウーゴ・グレゴレッティ
※4人の監督によるオムニバスで、題名のロゴパグとは参加した監督の頭文字を取ってつけられたもの。

大きな鳥と小さな鳥

Uccellacci e uccellini
1965-66年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/86分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)
■製作: アルフレード・ビーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■撮影監督: トニーノ・デッリ・コッリ、マリオ・ベルナルド■美術設定: ルイジ・スカッチャノーチェ■音楽: エンニオ・モリコーネ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: トト、ニネット・ダヴォリ、フェミ・ベヌッシ、ロッサナ・ディ・ロッコ
死とは何か、生とは何か。議論をしながら放浪する「無知」な親子に「左翼インテリ」のカラスが同行。カラスが「知的」発言を繰り返す中、親子は様々な事件に遭遇し、体験を積み重ねていく。「生と死」の問題を寓話的な物語形式の中に描き、その後の『テオレマ』、『豚小屋』などに連なる一系譜を作った重要作。

豚小屋

Porcile
1968-69年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/98分
製作会社: BBGチネマトグラフィカ、IDIチネマトグラフィ力、イ・フィルム・デロルソ(ローマ)、C.A.P.A.Cフィルメディ(パリ)
■製作: ジャンニ・バルチェッローニ・コルテ、ジャン・ヴィットーリオ・バルディ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■撮影: アルマンド・ナンヌッツィ、トニーノ・デッリ・コッリ、ジュゼッペ・ルッツォリーニ■音楽: ベネデット・ギッリア■編集: ニーノ・バラッリ■出演: ピエール・クレマンティ、フランコ・チッティ、ジャン・ピエール・レオ、アルベルト・リオネッロ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ニネット・ダヴォリ、マッシモ・ジロッティ、ラウラ・ベッティ
異なったニつの物語を交互に構成した作品。一つは、砂漠を放浪する男が、出くわした兵士を殺して、その肉を食らい、カニバリスムに取り憑かれる話。もうーつは、西ドイツのブルジョワが、ライヴァルのナチ戦犯という過去を知るが、そのライヴァルには彼の息子が豚と獣姦しているというスキャンダルを掴まれるという話。


マンマ・ローマ

Mamma Roma
1962年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/l06分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)
■製作: アルフレード・ビーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■台詞協力: セルジョ・チッティ■撮影監督: トニーノ・デッリ・コッリ■美術設定: フラヴィオ・モゲリーニ■音楽監修: カルロ・ルスティケッリ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: アンナ・マニヤーニ、エットーレ・ガローフォロ、フランコ・チッティ、シルヴァーナ・コルシーニ
美しく成長した息子を引き取り、波の幸福のためには、とんな自己犠牲も厭わない元売春婦の物語。市場に働く彼女の抱いた「ブルジョア的生活」への欲望は、彼女の前夫と息子の取り巻きによって、やがて不幸な結末へと裏切られていく。「アッカトーネ」と同様、ネオレアリズモを継承し乗り越えんとするパゾリー二の意欲作。

愛の集会

Comizi d'amore
1963‐64年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/92分
製作会社: アルコ・フィルム(ローマ)
■製作: アルフレード・ビーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■インタヴュアー・語り: ピエル・パオロ・パゾリーニ■撮影監督: マリオ・ベルナルド、トニーノ・デッリ・コッリ■編集: ニーノ・バラッリ■発言者: アルベルト・モラヴィア、チェーザレ・ムザッティ、ボローニャ・サッカー・チーム
イタリア全土で多種多様な階層の人々にインタヴューを行い、性や恋愛、結婚観などに関する意識を浮かび上がらせようとした意欲的作品 アルベルト・モラヴィアやジャーナリストのオリアナ・ファッラーチも登場する。

ソドムの市

Salo, ole 120 giornate di Sodoma
1975年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/116分
製作会社: :PEA(ローマ)、レ・プロデュクシォン・アルティスト・アソシエ(パリ)
■製作: アルベルト・グリマルディ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■原作: マルキ・ド・サド「ソドムの120日」■撮影: トニーノ・デッリ・コッリ■美術: ダンテ・フェルレッティ■音楽監修: エンニオ・モリコーネ■編集: ニーノ・バラッリ、タティアーナ・カシーニ・モリージ■出演: パオロ・ボナチェッリ、ジョルジョ・カタルディ、ウベルト・パオロ・クィンタヴァッレ、アルド・ヴァッレッティ、カテリーナ・ボラット、エルザ・デ・ジョルジ
サド侯爵原作「ソドムの120日」をナチス占領下の北部イタリアに置き換え、閉さされた館の中でファシストたちか繰り広げる狂気の宴を描く究極の作品。あまりにも衝撃的な描写のために物議を醸したバソリー二の遺作。

デカメロン

Il Decameron
1970-71年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/111分
製作会社: :PEA(ローマ)、レ・プロデュクシォン・アルティスト・アソシエ(パリ)、アルテミス・フィルム(ベルリン)
■製作: フランコ・ロッセリーニ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■原作: ジョヴァンニ・ボッカッチョ■撮影: トニーノ・デッリ・コッリ■美術: ダンテ・フェルレッティ■音楽: エンニオ・モリコーネ、ピエル・パオロ・パゾリーニ■編集: ニーノ・バラッリ、タティアーナ・カシーニ・モリージ■出演: フランコ・チッティ、ニネット・ダヴォリ、ヴィンチェンツォ・アマート、アンジェラ・ルーチェ、シルヴァーナ・マンガーノ、ピエル・パオロ・パゾリーニ
14世紀イタリアの作家ジョヴァンニ・ボッカッチョの同名原作から8篇を選び映画化したもの。二ネット・ダヴォリやフランコ・チッティなど常連俳優たちの好演が楽しい。画家ジョットー役でパゾリーニ本人も出演している。ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。

カンタベリー物語

I racconti di Canterbury
1971-72年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/110分
製作会社: :PEA(ローマ)
■製作: アルベルト・グリマルディ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■原作: ジョフリー・チョーサー■撮影: トニーノ・デッリ・コッリ■美術: ダンテ・フェルレッティ■音楽構成: ピエル・パオロ・パゾリーニ■音楽協力: エンニオ・モリコーネ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: ヒュー・グリフィス、ラウラ・ベッティ、ジョセフィン・チャップリン、フランコ・チッティ、ニネット・ダヴォリ、ピエル・パオロ・パゾリーニ
イギリス人作家ジョフリ一・チョーサーの同名原作を元に、「デカメロン」同様多くのエピソードで構成された艶笑譚。パゾリーニ自身がチョーサーに扮し、狂言回しを務めている。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。


アラビアンナイト

Il fiore delle mille e una notte
1973‐74年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/129分
製作会社: :PEA(ローマ)、レ・プロデュクシォン・アルティスト・アソシエ(パリ)
■製作: アルベルト・グリマルディ■脚本・監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ■原作: 「千一夜物語」■撮影: ジュゼッペ・ルッツォリーニ■美術: ダンテ・フェルレッティ■音楽: エンニオ・モリコーネ■編集: ニーノ・バラッリ■出演: ニネット・ダヴォリ、フランコ・チッティ、フランコ・メルリ、イネス・ペッレグリーニ
「千一夜物語」に基づく、世界三大艶笑文学映画化の完結篇。イエメンからエチオピア、イラン、インド、ネパールと各地でロケーションを敢行した。カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞。

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