PERFORMANCE & FILM 舞台芸術 & 映画

2020:01:22:20:00:01:2020:01:26:00:00:00終了しました

冬の定期上映会 天才! 木下惠介監督特集 日本映画の黄金期の頂点

2020年01月22日[水] - 2020年01月26日[日]

上映日:2020年1月22日(水)~26日(日)5日間

会 場:高知県立美術館ホール(399席)

入場料:一般 1日通し券 前売 1,000円(当日1,200円)     

高校生以下無料 (要学生証)
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・戦傷病者手帳・被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)は3割引きです。(ローソンチケット、サニーマート、こうち生協は割引対象外) 割引料金 一般 1日通し券 前売 700円(当日840円)
※年間観覧券をご提示いただくと前売料金でご覧いただけます。

前売券発売所: 高知県立美術館ミュージアムショップ(2020年1月2日再オープン)/高新プレイガイド/高知大丸プレイガイド/高知市文化プラザミュージアムショップ/サニーマート(毎日屋・一部店舗を除く)/こうち生協(コープよしだ・コープかもべ)/ローソンチケット0570-084-006(Lコード61364) ※ローソンチケットのみ県外店舗でも販売しています)

主 催:高知県立美術館

後 援:高知県教育委員会、高知市教育委員会、高知新聞社、RKC高知放送、NHK高知放送局、KUTⅤテレビ高知、KSSさんさんテレビ、KCB高知ケーブルテレビ、エフエム高知、高知シティFM放送

フィルム・写真提供・協力:松竹株式会社

助成:芸術文化振興基金 助成事業芸術文化基金シンボルマークs.gif

※上映期間中美術館ホールホワイエにて、星加コレクションより関連ポスターを展示します。

~「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾歳月」「野菊の如き君なりき」「永遠の人」「楢山節考」「カルメン故郷に帰る」「香華」「お嬢さん乾杯」~

 日本映画界の巨匠、木下惠介の代表的傑作20作品を一挙に上映します。木下惠介は生涯に49作品を残しました。戦時中に戦意高揚映画として作られながら反戦映画の名作として知られる「陸軍」、日本中を感動の涙で包んだ「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾歳月」、日本初のカラー映画「カルメン故郷に帰る」、アカデミー賞外国語映画賞ノミネート「永遠の人」を始め、文芸映画「香華」「野菊の如き君なりき」「二人で歩いた幾春秋」、コメディ映画「お嬢さん乾杯」「破れ太鼓」、実験的映画「楢山節考」「笛吹川」、社会派映画「日本の悲劇」「衝動殺人 息子よ」、アクション映画「死闘の伝説」など幅広いジャンルで数多くの傑作を生みだし、作品のそのほとんど全てが傑作であることから、稀代の天才監督と呼ばれています。公開当時から観客動員、批評共に評価が高かったにもかかわらず、海外映画祭では小津安二郎、黒澤明、溝口健二ほど注目されなかったことや、絶頂期にテレビに活躍の場を移したことなどから、国内では再評価が進みませんでした。人生の厳しさ、家族のつながり、どうにもならない時代背景の中で、精いっぱい生きる人間の姿を流麗なカメラワークで冷徹かつ抒情的に描き、日本映画の黄金期の頂点と言ってもいい多くの傑作群を生みだした木下惠介監督。今回全て35ミリフィルムで上映します。是非この機会にご覧ください。

-

1月22日(水)

① 9:30~12:06 二十四の瞳(156分/1954年)※26日にも上映
-休憩-
②13:00~14:26 カルメン故郷に帰る(86分/1951年) 
③14:40~16:50 衝動殺人 息子よ(130分/1979年) 
-休憩-
④18:30~19:57 陸軍(87分/1944年) 
⑤20:10~21:32 花咲く港(82分/1943年)

-

1月23日(木)

①9:30~12:10 喜びも悲しみも幾歳月(160分/1957年)※25日にも上映
-休憩-
②13:00~14:57 笛吹川(117分/1960年)
③15:10~16:59 破れ太鼓(109分/1949年)
-休憩-
④18:30~20:02 野菊の如き君なりき(92分/1955年)
⑤20:15~21:37 今年の恋(82分/1962年)

-

1月24日(金)

①10:00~11:47 永遠の人(107分/1961年)※26日にも上映
-休憩-
②13:00~14:56 日本の悲劇(116分/1953年)
③15:10~17:20 新・喜びも悲しみも幾歳月(130分/1986年)
-休憩-
④18:30~19:48 風花(78分/1959年)
⑤20:00~21:38 楢山節考(98分/1958年)

-

1月25日(土)

①10:00~12:40 喜びも悲しみも幾歳月(160分/1957年)※23日にも上映
②12:50~14:13 死闘の伝説(83分/1963年)
-休憩-
③ 15:20~16:49 お嬢さん乾杯(89分/1949年)
④17:00~20:24 香華(204分/1964年)

-

1月26日(日)

①10:00~12:36 二十四の瞳(156分/1954年)※22日にも上映
②12:50~14:32 二人で歩いた幾春秋(102分/1962年)
-休憩-
③15:30~17:17 永遠の人(107分/1961年)※24日にも上映
④17:30~19:13 カルメン純情す(103分/1952年)

-

-


『二十四の瞳』

(1954年/モノクロ/スタンダード/156分/35ミリ)
監督・脚色:木下惠介 原作:壺井栄 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:高峰秀子、月丘夢路、小林トシ子、井川邦子、田村高廣、笠智衆
受賞歴: 第12回ゴールデングローブ賞外国語映画賞。1954年度キネマ旬報ベスト・テン第1位。第9回毎日映画コンクール日本映画大賞/監督賞/脚本賞/女優主演賞/録音賞。第5回ブルーリボン賞作品賞/主演女優賞/脚本賞。昭和29年芸術祭参加映画コンクール1位。NHK映画委員会選出ベスト・テン第1位。日本映画批評家協会選出作品。 優秀映画鑑賞会第1回特選作品  

小豆島を舞台に分校に赴任してきた教師(高峰秀子)と十二人の子供たちの、戦前から戦後にかけての苦難と交流を描く不朽の傑作。戦前の貧困により奉公に出される女の子や、戦争の波に飲み込まれ出征してゆく男の子など、教え子たちの姿が数々の唱歌と共に描かれる。戦争が終わり教師と生き残った教え子たちの同窓会が開かれる。原作は壺井栄の同名小説。ゴールデングローブ賞外国語映画賞他多数受賞。キネマ旬報第1位。


『カルメン故郷に帰る』

(1951年/カラー/86分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:高峰秀子、小林トシ子、井川邦子、佐野周二、佐田啓二、笠智衆
受賞歴:1951年度キネマ旬報ベスト・テン第4位。第6回毎日映画コンクール脚本賞  

日本初の国産総天然色(カラー)映画。家出して東京でストリッパーをしているリリー・カルメン(高峰秀子)が、同僚と共に浅間山の麓の村に帰ってきたことによって起こる珍騒動を描く。高峰秀子が木下作品に初出演。カラー映画として撮影が失敗した場合に備え、カラー版撮影後に改めて白黒版を撮影した。1951年度キネマ旬報第4位。


『衝動殺人 息子よ』

(1979年/カラー/130分/35ミリ)
監督:木下惠介 原作:佐藤秀郎 脚本:砂田量爾、木下恵介  撮影:岡崎宏三 音楽:木下忠司
出演:若山富三郎、高峰秀子、田中健、大竹しのぶ、尾籐イサオ、高岡健二
受賞歴:1979年度キネマ旬報ベスト・テン第5位/読者選出ベスト・テン第3位/主演男優賞(若山富三郎)。第1回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞(若山富三郎)。第34回毎日映画コンクール男優演技賞(若山富三郎)。第22回ブルーリボン賞主演男優賞(若山富三郎)  

町工場を営む夫婦(若山富三郎・高峰秀子)の一人息子が通り魔に殺された。夫婦は被害者への動機なき無差別犯行に苦しむ全国の被害者を訪ね歩き、被害者の会を結成して国家による犯罪被害者補償制度の成立に奔走する。公開後の1980年犯罪被害者給付金支給法(略称)が制定された。高峰秀子最後の出演作。1979年キネマ旬報第5位。


『陸軍』

(1944年/モノクロ/スタンダード/87分/35ミリ)
演出:木下惠介 原作:火野葦平 脚色:池田忠雄 撮影:武富善男 
出演:笠智衆、田中絹代、東野英治郎、上原謙、三津田健、杉村春子

太平洋戦争開戦3周年を記念して戦意高揚のために作られた映画ではあるものの、木下惠介らしいセリフや描写が際立つ素晴らしい作品。特に軍国の母(田中絹代)が中国に出兵のため行進する息子を見送ろうか、見送るまいかと逡巡し、結局延々と追いかける最後のシークエンスは10分近い長さに及ぶ本作の白眉。木下惠介の真骨頂といってもいい。


『花咲く港』

(1943年/モノクロ/スタンダード/82分/35ミリ)
演出:木下惠介 原作:菊田一夫 脚色:津路嘉郎 撮影:楠田浩之 音楽:安倍盛
出演:小澤栄太郎、上原謙、水戸光子、笠智衆、東野英治郎、坂本武
受賞歴:山中貞雄賞(木下惠介監督)

1943年の戦時中に作られた木下惠介のデビュー作。二人の詐欺師がある島で造船事業を起こした実業家の遺児を名乗り、村人から多額の出資金を集めるが、やがて村人の純朴さに負けて実際に造船に乗り出す・・・。本作で新人監督を対象にした山中貞雄賞を「姿三四郎」の黒澤明と同時受賞した。

-

『喜びも悲しみも幾歳月』
(1957年/カラー/160分/35ミリ)
原作・脚本・監督:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:高峰秀子、佐田啓二、田村高廣、中村嘉葎雄、有沢正子、桂木洋子 
受賞歴:1957年度キネマ旬報ベスト・テン第3位。第12回毎日映画コンクール女優主演賞(高峰秀子)  

灯台守の夫婦(佐田啓二、高峰秀子)の25年にわたる波乱に満ちた半生を、戦争で激動する時代と共に描く名作。三浦半島の観音崎灯台から始まり、北海道、伊豆大島、豊後水道、九州の女島、佐渡島、男木島などを転々とする中、様々な出来事が二人を襲う。木下惠介のオリジナルシナリオで、若山明が歌う同名の主題歌と共に大ヒットした。1957年キネマ旬報第3位。


『笛吹川』

(1960年/モノクロ/スタンダード/117分/35ミリ)
監督・脚色:木下惠介 原作:深沢七郎 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:高峰秀子、田村高廣、市川染五郎(九代目松本幸四郎)、岩下志麻、中村萬之助(二代目中村吉右衛門)
受賞歴:1960年度キネマ旬報ベスト・テン第4位。第11回ブルーリボン賞助演男優賞(織田政雄)

戦国時代、武田家が支配する甲斐の笛吹川の橋の袂に住む農民一族の年代記。白黒で撮影されたフィルムに原色で彩色したシーンは絵巻物風でもあり、カラーフィルターがかけられたシーンも多い異色の実験作である。合戦シーンも多いが戦いのむなしさが感じられるのは木下作品に共通する。原作は深沢一郎の同名小説。


『破れ太鼓』

(1949年/モノクロ/スタンダード/109分/35ミリ)
監督:木下惠介 脚本:小林正樹、木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:阪東妻三郎、森雅之、桂木洋子、小林トシ子、木下忠司、村瀬幸子
受賞歴:1949年度キネマ旬報ベスト・テン第4位  

家父長的な一家の頑固おやじが、自由、恋愛など時代の変化に翻弄される様を、妻や6人の子供たちと対立する中で描く。時代劇の大スター坂東妻三郎が演じる典型的な家父長像が次第に崩れてゆくが、最後は心を入れ替えハッピーエンドを迎えるまでをユーモラスに描く。木下作品で音楽を務める実弟の木下忠司が子供の一人として出演している。


『野菊の如き君なりき』

(1955年/モノクロ/スタンダード/92分/35ミリ)
監督・脚色:木下惠介 原作:伊藤左千夫 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:有田紀子、田中晋二、笠智衆、田村高廣、小林トシ子、杉村春子
受賞歴:1955年度キネマ旬報ベスト・テン第3位。第10回毎日映画コンクール撮影賞(楠田浩之)。第6回ブルーリボン賞技術賞(楠田浩之)  

信州の旧家に育った政夫と、いとこで2歳年上の民子の悲しい恋を、回想シーンを楕円形のマスクで囲んだ美しい映像で描く格調高い名作。73歳になった政夫(笠智衆)が詠む短歌と共に回想する50年前の出来事が、木下忠司作曲の抒情的なメロディーと共につづられる。原作は伊藤左千夫の「野菊の墓」。1955年度キネマ旬報第3位。


『今年の恋』

(1962年/モノクロ/スタンダード/82分/35ミリ)
製作・監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之、成島東一郎 音楽:木下忠司
出演:岡田茉莉子、吉田輝雄、田村正和、石川竜二、峯京子、三木のり平
受賞歴:第17回毎日映画コンクール女優主演賞(岡田茉莉子)

仲の良い二人の男子高校生のそれぞれの兄(大学院生の吉田輝男)と姉(料亭経営の岡田茉莉子)が最初は反発し合うが、最後結ばれるまでを軽快なテンポで描く。当時売り出し中の岡田茉莉子と松竹移籍第1作の吉田輝男を主役に据え、正月映画として公開されたコミカルな恋愛映画。

『永遠の人』
(1961年/モノクロ/スタンダード/107分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:高峰秀子、佐田啓二、仲代達矢、乙羽信子、石濱朗、田村正和
受賞歴:1961年度キネマ旬報ベスト・テン第3位。第16回毎日映画コンクール女優主演賞(高峰秀子)/男優主演賞(仲代達矢)

阿蘇の大自然を背景に、フラメンコ音楽で彩られる愛憎劇。恋人(佐田啓二)が出征中に、戦争帰りの地主の息子(仲代達也)に無理やり犯され結婚した小作の娘(高峰秀子)と、その家族の30年にわたる確執を全5章で描く。激しい移動撮影とズームによって、全編クライマックスの連続と言っていいほど凄まじい作品。出自の経緯により母から愛されなかった長男(田村正和)が余りに不憫。米アカデミー賞外国語作品賞ノミネート。


『日本の悲劇』

(1953年/モノクロ/スタンダード/116分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:望月優子、桂木洋子、田浦正巳、佐田啓二、高橋貞二、高杉早苗
受賞歴:1953年度キネマ旬報ベスト・テン第6位 第8回毎日映画コンクール脚本賞/女優主演賞(望月優子)。第4回ブルーリボン賞脚本賞(木下惠介)  

戦後女手一つで2人の子供を育てた女性の悲劇を描く。戦争で夫を亡くした母親(望月優子)は闇商売や旅館で働き、時には体を売って娘(桂木桂子)と息子を育て上げる。しかし子供たちはそんな母を嫌いそれぞれ自分の人生を選んだ。そして衝撃的な結末を迎える。当時の新聞や映像が時代背景を写し、無音の回想シーンが劇的効果を高めている。


『新・喜びも悲しみも幾歳月』

(1986年/カラー/130分/35ミリ)
監督・原作・脚本:木下惠介 撮影:岡崎宏三 音楽:木下忠司
出演:加藤剛、大原麗子、 中井貴一、 紺野美沙子、田中健、植木等
受賞歴:第41回毎日映画コンクール男優助演賞(植木等)。第10回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞(植木等)。山路ふみ子映画賞女優賞(大原麗子)  

「喜びも悲しみも幾歳月」から約30年。再び灯台守の人生を描く。昭和48年丹後半島の経ヶ岬灯台からの転勤を機に、灯台守(加藤剛)の元を奥さん(大原麗子)と父(植木等)が訪ねてくる。伊豆半島、八丈島、函館、そして定年を迎える長崎・五島列島までの13年間を、父や家族、同僚の姿と共に描くロードムービー。転勤族の物語であり、観光映画的でもある。


『風花』

(1959年/カラー/78分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:岸恵子、有馬稲子、久我美子、川津祐介、東山千栄子、笠智衆

美しい風景が広がる信州・善光寺平を舞台に、地主と使用人の間の母子2代にわたる、古い因習に縛られた報われぬ恋を描く名作。地主の次男と心中を図って生き残った母(岸恵子)の生き様と、その間に生まれた子(川津祐介)と地主の長男夫婦の優しい娘(久我美子)のかなわぬ恋を、過去と現在をつなぐ交互に繋ぐ手法で描く。有馬稲子、東山千栄子ら豪華女優陣も名演。風花とは晴れた日に舞い降りる雪のこと。


『楢山節考』 

(1958年/カラー/98分/35ミリ)
監督・脚色:木下惠介 原作:深沢七郎 撮影:楠田浩之 音楽:杵屋六左衛門 、野沢松之輔
出演:田中絹代、高橋貞二、望月優子、市川團子(二代目市川猿翁)宮口精二
受賞歴:第19回ヴェネツィア国際映画祭正式出品 1958年度キネマ旬報ベスト・テン第1位/監督賞/女優賞(田中絹代) 第13回毎日映画コンクール日本映画賞(作品賞)/監督賞/音楽賞  

深沢七郎原作。舞台セットのような人工的な書割と舞台風場面転換、義太夫が使われ様式的な世界で姥捨山伝説を描く大胆な野心作。口減らしのため70歳になったら姥捨山に行く風習がある村で、おりん(田中絹代)は進んで山に行こうとする。長男は悩むが母を背負って山に登る。山頂には白骨が散らばっており・・・。ベネツィア国際映画祭正式出品。キネマ旬報第1位。


『死闘の伝説』

(1963年/モノクロ/スタンダード/83分/35ミリ)
製作・監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:岩下志麻、加賀まりこ、加藤剛、田中絹代、加藤嘉、菅原文太

戦争終結間際の北海道のある村を舞台に、村の定住者と疎開者の争いが殺し合いにまで発展する様を描く。村長の息子(菅原文太)は、疎開者の美しい娘(岩下志麻)に縁談を断られたことを根に持ち、疎開者の畑を荒らした挙句娘を暴行しようとする。通りがかった村の娘(加賀まりこ)が彼女を救おうとして誤って村長の息子を殺してしまうことから惨劇の幕が上がる。戦争の狂気が内地の住民にまで及んだことを流麗なカメラワークで描く。巻頭とラストのみがカラーで撮影された衝撃作。全編口琴が流れる。


『お嬢さん乾杯』

(1949年/モノクロ/スタンダード/89分/35ミリ)
監督木下惠介 脚本:新藤兼人 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:佐野周二、原節子、佐田啓二、村瀬幸子、坂本武、東山千栄子
受賞歴:1949年度キネマ旬報ベスト・テン第6位。第4回毎日映画コンクール女優演技賞(原節子)

戦後自動車修理工場の経営で成功している青年(佐野周二)と没落華族のお嬢さん(原節子)の恋を、心に残る主題曲とショパンの名曲に乗せて描くソフィステイテッドコメディの傑作。美しく上品を絵に描いたような原節子と金はあるが野暮な佐野周二(高知県出身という設定)は果たして結婚に漕ぎつけられるのか。原節子の祖父母はじめ元貴族の一家を演じる俳優たちも実にいい味を出している。脚本は新藤兼人。1949年キネマ旬報第6位。


『香華』

(1964年/モノクロ/スタンダード/204分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 原作:有吉佐和子 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司 
出演:岡田茉莉子、乙羽信子、田中絹代、杉村春子、加藤剛、岡田英次
受賞歴:1964年度キネマ旬報ベスト・テン第3位  

明治から昭和に至る60年に及ぶしっかり者の女性(岡田茉莉子)の一生。奔放で身勝手な母(乙羽信子)から子供の頃芸者に売られるが、才覚を生かし、旦那もつき旅館の女将になるが、好きになった青年将校(加藤剛)は、母親が遊郭にいたことを理由に去ってしまう。関東大震災、東京大空襲、戦後の焼け野原などダイナミックな映像と共に、母親との数十年に渡る愛憎を、四季の風情を交えながら描く稀代の傑作。1964年度キネマ旬報第3位。


『二人で歩いた幾春秋』

(1962年/モノクロ/スタンダード/102分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 原作:河野道工 撮影:楠田浩之 音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、久我美子、倍賞千恵子、山本豊三、野々村潔

終戦後の山梨県を舞台に、まじめな道路工夫(佐田啓二)としっかり者の妻(高峰秀子)の半生を、長男が京都の大学を出るまでを要所・要所で短歌を挟みながら描く感動作。原作は河野道工の「道路工夫の歌」。戦後学歴のない親が子供を大学に行かせようと苦労する姿は当時の日本に共通していた。佐田啓二の昔の憧れの女性を久我美子、長男の大学時代の恋人を倍賞千恵子が演じている。



『カルメン純情す』

(1952年/モノクロ/スタンダード/103分/35ミリ)
監督・脚本:木下惠介 撮影:楠田浩之 音楽:黛敏郎、木下忠司 
出演:高峰秀子、若原雅夫、淡島千景、小林トシ子、三好栄子、東山千栄子 受賞歴:1952年度キネマ旬報ベスト・テン第5位  

「カルメン故郷に帰る」の続編。白黒映画。浅草に帰ってきたカルメン(高峰秀子)は前衛芸術家に一目惚れ。その婚約者(淡島千景)も巻き込む騒動に発展する喜劇。音楽にはビゼーのカルメンが使われ社会風刺も多い。カメラは大部分が斜めに構えた実験的な構図となっている。


木下惠介監督略歴

1912年12月5日(大正元年)静岡県浜松市に8人兄弟の4男として生まれる。本名木下正吉。浜松工業学校(現浜松工業高校)を卒業後、21歳の時に松竹蒲田撮影所現像部に入社、島津保次郎の助監督を務める。40年日中戦争へ召集。43年『花咲く港』で監督デビュー、黒澤明と共に山中貞雄賞受賞。44年『陸軍』。51年日本初の長篇カラー映画『カルメン故郷に帰る』。54年『二十四の瞳』。米ゴールデングローブ賞外国語映画賞ほか受賞。同年『女の園』。『二十四の瞳』と『女の園』でキネマ旬報ベスト・テン第1・2位を独占。なお同年第3位は黒澤明監督『七人の侍』。55年『野菊の如き君なりき』。57年『喜びも悲しみも幾歳月』が大ヒットを記録。58年『楢山節考』ヴェネツィア国際映画祭正式出品。61年『永遠の人』米アカデミー賞外国語作品賞にノミネート。64年『香華』を最後に松竹を退社。同年テレビドラマ「木下惠介劇場」スタート。67年テレビドラマ「木下惠介アワー」スタート。同年松竹退社後初の他社映画作品「なつかしき笛や太鼓」。77年紫綬褒章を受章。84年勲四等旭日小緩賞を受賞。88年76歳の時に遺作『父』。91年文化功労者表彰。98年12月30日逝去(享年86歳)。生涯の映画作品は49本。

★木下恵介監督特集チラシ表面_枠線入_s.jpgチラシ表面

★木下恵介監督特集チラシなか面-枠線入_s.jpgチラシなか面

「二十四の瞳」① (C)1954 松竹株式会社.JPGのサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像のサムネイル画像「二十四の瞳」 ©1954 松竹株式会社

「カルメン故郷に帰る」① (C)1951 松竹株式会社.JPGのサムネイル画像「カルメン故郷に帰る」 ©1951 松竹株式会社

「衝動殺人・息子よ」①_(C)1979_松竹/東京放送s.jpg「衝動殺人 息子よ」 ©1979 松竹株式会社/東京放送

「陸軍」①_(C)1944_松竹株式会社.jpg「陸軍」©1944 松竹株式会社

「花咲く港」(C)1943_松竹株式会社.JPG「花咲く港」©1943 松竹株式会社

「喜びも悲しみも幾歳月」(C)1957 松竹株式会社.JPG喜びも悲しみも幾歳月」©1957 松竹株式会社

「笛吹川」_(C)1960_松竹株式会社s.jpg「笛吹川」©1960 松竹株式会社

「破れ太鼓」①_(C)1949_松竹株式会社.jpg「破れ太鼓」©1949 松竹株式会社

「野菊の如き君なりき」①_(C)1955_松竹株式会社.JPG「野菊の如き君なりき」©1955 松竹株式会社

「今年の恋」(C)1962_松竹株式会社.JPG「今年の恋」©1962 松竹株式会社

「永遠の人」①_(C)1961_松竹株式会社.jpg「永遠の人」©1961 松竹株式会社

「日本の悲劇」①_(C)1953_松竹株式会社.jpg「日本の悲劇」©1953 松竹株式会社

「新・喜びも悲しみも幾歳月」①_(C)1986_松竹/東京放送/博報堂.jpg「新・喜びも悲しみも幾歳月」©1986 松竹株式会社/東京放送/博報堂

「風花」①_(C)1959_松竹株式会社.jpg「風花」©1959 松竹株式会社

「楢山節考」②_(C)1958_松竹株式会社.jpg「楢山節考」©1958 松竹株式会社

「死闘の伝説」①_(C)1963_松竹株式会社_HP用トリミング.jpg「死闘の伝説」©1963 松竹株式会社

「お嬢さん乾杯」_(C)1949_松竹株式会社.JPG「お嬢さん乾杯」©1949 松竹株式会社

「香華」①_(C)1964_松竹株式会社_HP用トリミング.jpg「香華」©1964 松竹株式会社

「二人で歩いた幾春秋」(C)1962_松竹株式会社.JPG「二人で歩いた幾春秋」©1962 松竹株式会社

「カルメン純情す」①_(C)1952_松竹株式会社.JPGのサムネイル画像「カルメン純情す」©1952 松竹株式会社

PAST PERFORMANCE & FILM これまでの舞台芸術 & 映画

TOP