PERFORMANCE & FILM 舞台芸術 & 映画
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最強のドキュメンタリー作家 原一男 全作品上映 冬の定期上映会
2024年02月10日[土] - 2024年02月12日[月]
上映日|2024(令和6)年 2月10日(土)・11日(日)・12日(月・祝)
会 場|高知県立美術館ホール
入場料|《1日券》前売:1,000円/当日:1,200円 (税込)
*身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・戦傷病者手帳・被爆者健康手帳所持者とその介護者(1名)は3割引です。割引料金:《1日券》前売:700円/当日:840円(税込) ※ローソンチケットは割引対象外
*当館の年間観覧券をご提示いただくと前売料金でご覧いただけます。
前売券販売所|
・高知県立美術館ミュージアムショップ
TEL. 088-866-7653 (9:00~17:00)
・金高堂書店本店(高知市帯屋町2丁目2-9)
TEL. 088-822-0161 (10:00~20:45)
・ローソンチケット〔Lコード:61310〕
企画概要
"私(たち)の映画作りは、商品を作っているわけじゃない、という強い自負がある。その時代その時代に「私は、どう生きていけばいいのか?」という問いを課し、その答えを探っていくプロセスを記録して映画作品にしたものだ。(原一男)"
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ドキュメンタリー映画作家の鬼才・原一男の全劇場用映画の上映を行います。衝撃的デビュー作「さようならCP」から、問題作「ゆきゆきて、神軍」を経て、水俣病の現在を描いた6時間を超える大作「水俣曼荼羅」まで、全8作品を上映します。
原一男監督の全貌をこの機会にご覧ください。
11日(日)午後には原監督のトークも行います。
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上映作品 -*1日券 *開場9:30
2月10日(土) |
2月11日(日) |
2月12日(月・祝) |
【Aプログラム】 10:00~11:54 -昼休憩- 13:00~16:35 16:45~20:58 ※休憩有 - - - -
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【Bプログラム】 10:00~11:22 11:35~13:13 -原監督サイン会- 14:20~15:50 16:00~18:02 18:15~20:52 |
【Cプログラム】 『水俣曼荼羅』 ①10:00~11:54 -昼休憩- ②13:00~15:18 ③15:30~17:28 |
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上映作品
2月10日(土)
Aプログラム ※1日券
■10:00~11:54
『またの日の知華』
2004年/114分/カラー/ブルーレイ
出演:吉本多香美、渡辺真起子、金久美子、桃井かおり、田中実、田辺誠一、夏八木勲、吉岡秀隆
激動の70年代を舞台に、ヒロインの知華が出会う4人の男たちとの愛と人生を描く。監督初にして唯一の劇映画。4人の女優が1人のヒロイン知華を演じる。4章で構成され、章により知華を演じる女優が異なるのは、それぞれの男の目に映る女性像は異なるという理由から。原一男の卓越したアイデアが光る。
監督が語る見どころ
原一男の初めての劇映画。一人のヒロインを4人の女優が演じるという画期的な手法。画期的すぎて観客も批評家も無視して疾走プロ極限の最低の興収だった悲劇の作品。
-昼休憩-
■13:00~16:35
『ニッポン国VS泉南石綿村』
2017年/215分/カラー/DCP
大阪府最南端の泉南地域。そこで行われたアスベスト(石綿。2006年以降全面禁止)国家賠償訴訟を8年間追ったドキュメンタリー映画。泉南地域は明治時代から石綿産業で栄え、最盛期は200以上の工場が密集し「石綿村」と呼ばれていた。石綿を吸い込むと長い潜伏期間の末、肺がんなどを発症する。裁判闘争、人間模様を記録し、釜山国際映画祭や山形国際ドキュメンタリー映画祭、東京フィルメックスで各賞を受賞した。
監督が語る見どころ
庶民がお上に楯突くなんてとんでもない、そんな土地柄だったが、家族が石綿のせいで凄惨な死に様を目にして裁判闘争を起こした。初めはおそるおそるという姿勢だったが、腰を低くしてお願いしても何も自分たちの願いを聞いてくれないことに次第に怒るようになり、権力とは戦う以外に庶民の幸せは成り立たない、と成長していく物語。
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■16:45~20:58 ※途中5分休憩あり
『れいわ一揆』
2019年/248分/カラー/ブルーレイ
2019年の参議院選挙で注目を集めた、「れいわ新選組」の個性豊かな候補者たちの選挙活動を追ったドキュメンタリー。特に迫ったのが東京大学教授の安冨歩。安冨は男性だが女性服を着る女性装で知られる。安冨は比例代表候補として全国遊説の旅に出る。馬に乗り遊説する安冨を中心に、「れいわ新選組」から出馬した10人の候補者の選挙戦を追いかける。
監督が語る見どころ
この作品、当時のれいわ新選組の立候補者10人にカメラを向けていますが、決して、れいわ新選組のPR映画ではありません。「当事者を国会に」というこの時のスローガンに多くの有権者が魅せられて、まさに奇跡が起きたようにブームになった、その記録です。もう一点の見どころは、候補者は言葉によって有権者にアピールしますが、その有権者の心を動かす言葉の「力」=パワーを捉え直したかったんです。
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2月11日(日)
Bプログラム ※1日券
■10:00~11:22
『さようならCP』
1972年/82分/白黒/ブルーレイ
原一男監督の衝撃的な第1作。CPとは脳の損傷で引き起こされる運動機能の障害。本作はCP者の急進的な団体「青い芝」の人々の生活と思想をカメラに収めた。「青い芝」の人々は障がい者だからと言って自ら片隅でこっそりする生き方は、障がい者差別を容認することになると考え、その不自由な体を積極的に人前にさらしてゆく。
監督が語る見どころ
ドキュメンタリーは現実=世界を変える力を持ち得るか? という議論がある。「CP」は、紛れもなく、健常者対障がい者という差別の構造を大きく変えた記念碑的作品である。この作品の、恐ろしく暴力的なカメラワークにも着目して欲しい。
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■11:35~13:13
『極私的エロス・恋歌1974』
1974年/98分/白黒/ブルーレイ
「極私」の極致へと到達した前人未踏のドキュメンタリー。原監督の名を一躍知らしめた問題作。原一男は、子どもと共に沖縄に移り住んだ元同棲相手を追って沖縄に向かう。元同棲相手はウーマンリブ運動の活動家であった。彼女は現地で知り合った黒人男性の子どもを出産するが、原一男はその様子をカメラに収める。世界に衝撃を与えた渾身のドキュメンタリー。
監督が語る見どころ
マーティン・スコセッシ監督がこの作品を観て「こんな映画を誰も観たことがない。こんな映画を誰も作ったことがない」と言ったが、セルフ・ドキュメンタリーという手法を世界に知らしめた作品である。
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-昼休憩-
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■14:20~15:50 原一男監督トーク
※2/10~12のチケットまたは半券をお持ちの方はご入場いただけます。
■16:00-18:02
『ゆきゆきて、神軍』
1987年/122分/カラー/ブルーレイ
日本映画界を震撼させた驚愕のドキュメンタリー。兵庫県で商売を営む過激な男・奥崎謙三が第2次世界大戦の終戦後、戦場で起こった部下銃殺事件の真実を求めて、元兵士や元上官に次々と迫ってゆく。原一男は、アポなしでかつての上官たちの家を訪ねて追及する奥崎に密着する。奥崎の執拗な追及により、驚くべき戦争の真実と戦争の実態が明かされてゆく。社会問題にもなり初公開当時大ヒットを記録した超問題作。
監督が語る見どころ
疾走プロ最大のヒット作品。N.Y.で上映された時で、N.Y.タイムス紙で「神風ドキュメンタリー」と書かれた。こんな日本人、見たことない、とそれまでのステレオタイプな日本人像のイメージをぶっ壊した作品。
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■18:15~20:52
『全身小説家』
1994年/157分/カラー/ブルーレイ
出演:井上光晴、埴谷雄高、瀬戸内寂聴、野間宏
94年の日本映画各賞を総なめした大傑作。小説『地の群れ』などで知られる、作家・井上光晴晩年の5年間を追ったドキュメンタリー。がんに侵されながらも、主宰する「文学伝習所」で生徒たちの書いた小説を舌鋒鋭く批評したり、全国各地を講演して回った。文学賞の選考にも当たった。92年に亡くなった後、原一男は井上の生まれ故郷を訪ね、次第に生前の井上の虚構が明らかになってゆく。
監督が語る見どころ
井上光晴、郁子夫人、瀬戸内寂聴の不倫が描かれているが、埴谷雄高が嘘つきみっちゃんより寂聴の方が遥かに嘘つきだと言わせた。それよりも「虚構」なるものの本質を学ばせてくれたことに感謝。1994年度の劇映画、アニメ、ドキュメンタリー全作品の中でベスト1に輝いた。
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2月12日(月・祝)
Cプログラム ※1日券
■10:00~17:28
『水俣曼荼羅』
2020年/372分/カラー/ブルーレイ
・10:00-11:54
第一部 病像論を糾す(1時間54分)
-昼休憩-
・13:00-15:18
第二部 時の堆積(2時間18分)
・15:30―17:28
第三部 悶え神(1時間58分)
「水俣を忘れてはいけない」という想いで本作を作ったと語る原一男が、20年の歳月をかけて作った壮大かつ長大なロマン。公害病の一つ水俣病の現状を3部構成で記録した6時間以上の大作。かつて土本典昭監督が手掛けた水俣ドキュメンタリーの遺志を引き継ぎながらも、新たな知見で水俣病のおかれた現状を問う。6時間は映画として長いが、水俣病患者さんの長い人生と比べたら一瞬と言える。
監督が語る見どころ
撮影に15年、編集に5年かかって完成した原一男の集大成的作品。エンターテイメント・ドキュメンタリー作品としてかつてないレベルに達した、日本ドキュメンタリー史上、最高レベルの出来である、と私自身は自惚れている。
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原一男
1945年山口県宇部市生まれ。72年に小林佐智子と「疾走プロダクション」設立。養護学校の勤務経験をもとに「さようならCP」でデビュー。元同棲相手を追った「極私的エロス・恋歌1974」で評価が高まる。そして87年「ゆきゆきて、神軍」で世界的評価を確立。「全身小説家」「水俣曼荼羅」と高いレベルで挑戦し続けるドキュメンタリー映画の最高峰。
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